湊かなえ 『物語のおわり』 | きまぐれWalker2

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湊かなえ 『物語のおわり』 (朝日新聞出版) 1,512円

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[作品紹介]
父親の死を機に プロカメラマンになる夢をあきらめよう
とする男性、 証券会社で仕事に身を捧げた女性、 娘
進路が気に入らない父親病をおして子どもを産もうす
る母親…様々な人生の岐路に立たされた人々が 北海
道へ一人旅をするなかで受けとるのは、一つの紙の束。
それは、「空の彼方」という結末の書かれていない物語
た。その物語は次々と人から人の手に渡り、受け取
った人々はその結末に思いを巡らせ自分の人生の決
断へと一歩を踏み出す。湊かなえが描く、人生の救い。

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「空の彼方」…山間の田舎町にあるパン屋の娘・絵美は
学生時代から小説を書くのが好きで、まわりからも実力
を認められていた。ある時、客としてきていた青年と付き
合い婚約することになるのだが、憧れていた作家の元で
修業をしないかと誘いを受ける。婚約を破棄して東京へ
行くか、それとも作家の夢をあきらめるのか…。

「過去へ未来へ」…フェリーで北海道へ向かう智子には、
お腹に子供がいた。 20年前の夏、彼女は父と母三人で
フェリーに乗って北海道へ。 その時、テレビ局の報道部
門に勤めていた父から教えられたカメラの技術によて、
智子は救われるのだった…。

「花咲く丘」…プロのカメラマンを目指していた拓真は実
家のかまぼこ工場を継ぐために、夢をあきらめる。 踏ん
切りをつけるために来た北海道で智子に出会い「空の
彼方」を渡されるのだった…。

「ワインディング・ロード」…学生時代に自転車に明け暮
れた綾子は、希望したテレビ制作会社に就職が決まる。
が、文芸同好会の彼にはテレビ番組に逃げたと 散々な
言われよう。拓真館で知り合った拓真から、「空の彼方」
を手渡される。

「時を超えて」…バイク乗りの木水は、短大を卒業した娘
がアメリカに渡り特殊造形の仕事をやりたいと言いだし、
頭を冷却するために北海道にツーリングにでかける。そ
こで出会った綾子から、「空の彼方」を託される。

「湖上の花火」…キャリアウーマンのあかねは 洞爺湖
リゾートホテルで昔の彼氏、今までの人生につて考える。
独身を貫き、会社に忠誠を尽くした果てには いったい何
残ったんだろう。そして、彼女の手には「空の彼方」が。

「街の灯り」…北海道大学の同窓生・佐伯は妻と冷戦中。
一緒に来るはずだた北海道旅行も振られる始末。自分
は長年学校で教員をしていたのに 孫娘は学校で不
になっており、どうしていいか分からない。

「旅路の果て」…萌の祖母はパン職人。 昔は作家に憧れ
て、小説を書いたりしていたのだが…。二人はフェリーで
海道に向かい、そこで祖母・絵美は昔話を孫娘にする。
そして、夫に電話すると…。

見事にループになって、最初と最後が繋がっています
しかも、結構な感動作。 “イヤミスの女王”と呼ばれた湊
さんですが 『山女日記』『花の鎖』 などの作品に引き
き、今回は“白湊”さんですね。 これはこれで、すっかり慣
れた感じです。は好きですけどね…この作風も