祖父の話 | 雲南市創作市民演劇

雲南市創作市民演劇

主催/雲南市演劇によるまちづくりプロジェクト実行委員会

厳格で普段から多くを語らない祖父が、自分に用があると言って、家の奥くの開かずの間で待っているといった。祖父が自分を呼び出すのは初めてだし、呼び出す時も相変わらず険しい顔つきだ。険しい厳しい以外の顔を一度でもいいから拝んでみたいものだけど、別に怒られることもしていない。何のために僕を呼んでるんだろうか。そもそも開かずの間で待ってるとかいうけど開かないんだから入れねーだろ!と突っ込みたい気持ちを抑えて、僕は家の奥に向かった。
 
家の奥、通称「開かずの間」。長年誰も開けてない、秘密の部屋だ。中にバジリスクがいるとかそんな類ではない。ただの倉庫だ。けど厳重な鍵がしてあって開かない。祖父はそんな部屋の、扉の前で正座していた。お前も開けられなかったんか・・・
 
祖父「よく来たな」
僕「うん。爺ちゃんどしたの?何の用?」
祖父「お前に話があるのは他でもない」
僕「・・・うん、何?」
祖父「映画の宣伝もいいが前置きは長くしたくない。お前にあるものを託す。」
 
あるもの?何のことだ?僕がそう考えるよりも早く、祖父は1枚の紙を差し出した。
 
僕「何これ?」
祖父「お前がそれを手にしたことから、物語は始まる。昔々のことだ。今から5年前。」
僕「(割と最近じゃんか・・・しかも爺ちゃんが語るのかよ・・・)」
祖父「人がまだ紙を作らず神様を作っていた時代。」
僕「いや待って待って待って。おかしいから。5年前だよ。紙めっちゃあるじゃん何を言って」
祖父「大事なことだ。黙って聞け。」
僕「・・・はい」
祖父「この国のどこかに、スサの国という国があった。紙がなかったその時代、この国を豊
   かにせんと、3人の人物が立ち上がった。自然の音を聞き分けるオト、嘘つきのヤマ
   タ、オトを兄と慕うオロ。それぞれの想いが交錯しながら、スサの国の運命が動き出し
   ていった。
僕「うん・・・全部この紙に書いてあるよ。何これ?チラシ?演劇の?」
祖父「儂はかつて、この物語に出会った。そして自分の運命が変わった。この物語の真実は5
    年前、関わった者たちにしか伝わってはおらん。だが時代は変わり、再びこの物語が動
    き始めておる。より遠くへ響いていく音を立ててな。
    音がしておる。この国が、再び動く音が。」
僕「・・・で、僕にどうしろと?」
 
祖父はその後、謎の言葉「3月18日、19時。3月19日、14時。チェリヴァホール」という言葉を発して何事もなかったかの様に僕にチラシだけを渡して散歩に行ってしまった。だけど祖父がこのことについて語っている時は、いつもの厳格な顔から、楽しそうな笑みがこぼれていたのが印象に残っている。国が動く音って何だ?色々分からないことはあるけれど、とにかく3月の18日と19日だけはチェリヴァホールに行った方がいい気がする。あの祖父から笑みがこぼれる。ほんとにただ事じゃないってばよこれは。僕はもう一度、チラシを見つめた。これか。太文字で書いてある。このお話のタイトル。
 
「異伝ヤマタノオロチ」
 
公演まで残り、1か月弱だァァァァァ!!!!
 
 
この前置きの長さは何だって?そうです。真吾です。5年前よりも更に、前置きが長くなって復活しました!ザオリク!
さて、ついに本番が1か月弱とまで近づいてきました。そして本番、3月18日。何の日か分かりますか?
 
そう、異伝ヤマタノオロチ初演からちょうど5年の日なんですね。正直これを知った時空いた口がふさがりませんでしたよ。ええ私は。「マジかよ・・・」でした。初演が初舞台だった自分にとって、最早運命しか感じておりません。そして5年前よりも、確実に面白くなっております。面白さのレインボーブリッジ封鎖できません。それだけ、見届けて頂きたい舞台となっております!!
 
 
前売り券、絶賛発売中です!逃してはいけない運命の日(つまり公演本番)、着々と迫ってきております!是非とも早め早めにお願い致します!!
 
 
では、明日も稽古に行って参ります!真吾でした!!