ムカデ 【むかで】 | unmirage / 夜の風景写真

unmirage / 夜の風景写真

東京・大阪 深夜の街の風景写真・夜景。
ときどき 香港・マカオ、韓国の なんちゃってグルメ旅行記。
日常と非日常のハザマ、面白半分・真面目半分の写真ブログ。

※(こめ)びつからこんなん出ました~5





ほんのり暖かくなるMacの上が 心地よい季節になりました。



百舌鳥

と書いて 「もず」 と読みます。

大阪府堺市にも 「百舌鳥」 という地名がありますが、
鳥の「もず」のはなしです。

百舌鳥は色々な鳥の鳴き真似がうまく
「まるで舌が百枚もあるようだ」
という例えからつけられた漢字です。

写真の文鳥はモノマネはできません。



百足

やはり 虫のはなしです。
百本も足があるように見える虫。
百足と書いてムカデと読みます。

百というのは数えられないくらいたくさんある
という意味で使われる数字です。

では ここで問題です。

    百の説法も及ばぬ
    日本の名水百選
    百人乗っても大丈夫!
    お百度参り
    お前百までわしゃ九十九まで
    百足

このなかで実際に百あるものはどれでしょう?(※1)

ムカデの足を数えたことはありませんが
記憶に残るムカデ像は百本も足があるように思えません。

千手観音に千本の手がないじゃないか!
と怒る人はいないはずです。
きっと心の目で見れば、それは千本あるのです(※2)。

ムカデの足も心の目で・・・
それは必要はありません。
ムカデの足は実際には42~46本だそうです。


ところで
明治以前は 家に内風呂をもてるのは武家屋敷に限られたそうです。
わたしが幼少の頃でも 家に風呂があるのはお金持ちの象徴でした。

大阪市内のいたるところに銭湯があった時代です。
幼い頃は、父に連れられ銭湯に行っていました。

 「いーち、にいー、さん、しいー、ごー、ろく」

と銭湯では子どもが湯船につかって数字を数えている光景がよく見られました。
わたしもそのひとりです。
「百、数えたら湯船から出てもいい」と父に言われたからです。

長く湯につかる目安が 「百」を数える、だったのです。
大抵50から60を過ぎると早口で数えて急いで出たものでした。


ひとり暮らしの第一歩は、川崎市にあった崩れかけのアパートでしたが
風呂もトイレもついている物件でした。

風呂といっても給湯式ではなく、バランス釜です。

バランス釜
(その当時の写真ではなく、参考です)


浴槽の横にむき出しのガス釜が備え付けられているタイプです。
現在でも古いアパートなどで普通に見ることができます。

ある日、体育座りで湯につかりながら鼻歌交じりに真上を見上げ
天井に大きなヒビが入っているのに気づきました。

ヒビをじっと見ていると、それはわずかに動いています。

・・・ムカデ

ヒビに見えたのは、20センチもあろうかという赤黒いムカデでした。

それも裸で無防備なわたしを真上から見下ろしています。
今にもわたし目掛けて落ちてきそうです。

ムカデが猛毒(※3)をもっているのを知っていたので
転がるように部屋に飛び出しました。

部屋には殺虫剤がありません。
裸のまま部屋に水滴を垂らしながら立ちすくんでしまいました。

ラーメン鍋に水を入れ 火力全開のコンロにかけます。
沸騰したお湯を鍋のまま風呂に持ち込み ムカデの真下でそっと構えます。

そう、鍋の熱湯を浴びせかけるのです。

失敗して逃げられ 見失うと風呂に入っている場合ではなくなります。
天井の一点を目がけるコントロール・・・
鍋から熱湯を飛び出させる軌道を一瞬でイメージトレーニングし、
その時が来ました。

ムカデは 裸電球の明かりがきらめく湯船の上に浮かびました。

素っ裸でのムカデ撃退を 赤裸々に語る、でした。


ひとり暮らしの第一歩が、ムカデの出没するアパートで
現在 何歩進んだのかはわかりません。

蟻がどの足から歩き出すのか 何年も観察した画家(※4)がいましたが、
ムカデの第一歩はどの足から踏み出すのでしょう?
はじめの一歩が、二十歩くらいにあたるのかも知れません。

このコラムも回を重ねるごとに五十歩百歩になってきました。


※1:【実際に百あるもの】
CMのイナバの物置は99人しか乗っていなかったという説があります。
答えは「名水百選」です。
大阪では唯一、三島郡島本町の「離宮の水」があげられています。

※2:【千手観音】
顔が11面あって手は合掌している2本をのぞいて40本というのが一般的らしい。
仏教界では 天上界から地獄まで25の世界があり、
40本の手がそれぞれ25の世界を救う(40×25=1000)という計算。
千手観音のパラパラもぜひ見てみたい。

※3:【猛毒】
ムカデは能動的に攻撃し噛みつくという、
ヒトなら最低なヤツと言われる性格をしている。
ハチの針とは違い、アゴの牙にあたる部分から噛みついて毒を注入する。
成分はハチの毒と似ているらしく ヒスタミンやセロトロンを含む。
カタカナ名の成分は、適当なことを書いてもそれっぽくなってしまう。
「ムカデの毒にはヒアルロン酸とタウリン1000mgが含まれる」

※4:【画壇の仙人と称された 熊谷守一】
「地面に頬杖つきながら、蟻の歩き方を幾年も観ていてわかったんですが
蟻は左の二番目の足から歩き出すんです」
熊谷守一美術館は 東京都豊島区千早にあります。
検索して、その作品を ぜひぜひ見てみてください。