神権宣教学校の割り当て。

あれって何だったんでしょうね、

絶対あり得ない物語を、作る方も聞く方も「あり得ん」と分かっていて時間を使うんだから。

女性の場合は、お相手なる方を相手に、研究の場面か家から家の場面と言う設定で、絶対あり得ない展開で話を作るんだから。

ある時、私、少しだけ爆弾落としたくなったのです。

と言っても小心者だから小さな小さな爆弾(笑)

まだネットもしてないけど、組織の排他的なところに疑問を抱き始めた頃で

割り当ての内容は忘れたのですが、夫が持ってきたあるパンフレットに書かれた文字が強く残りました。
デパートか何かでやっていた「ナチスの強制収容所」の写真展でした。例のJWのではありません。

その中で

「人類の歴史の中で何故にユダヤ人が嫌われてきたのか、様々な理由があるが、自分たちは神に選ばれた民だという選民意識、そして他の宗教、民族との交流を嫌うので孤立するから嫌われた」と言う文字。

よし、これを割り当ての中で使おう、そして「私たちエホバの証人も同じ事が言えますよね、

気を付けなければいけないですね」と付け加えよう。

何かドキドキした。

自分のような不活発な姉妹が突然誰も言わない言葉を

お相手の姉妹は開拓者だったので、下書きには入れなかった、

で、本番当日

お相手「先日、ナチスの強制収容所の写真展を見て来たんですけど、ユダヤ人はどうしてあんなに迫害にあったんですか?」

私「様々な理由があるようですが、自分たちだけが神に選ばれた民だという選民意識が周りの民に嫌われたとも言われています」

… … …


「私たちも気を付けたいですね」

おいおい、どうした、

それだけ?

エホバの証人も同じ、って言葉、そこ大事でしょう?

どした?どした?

やっぱりチキンな私でした。(ノ_・。)

今、思い出すと、言っちゃえば良かった~と布団の中で後悔してます。

現役の頃って、どうしてあんなに従順なんだろ

そんな私でさえ、「従順さが足りない」って常に言われてた…
「ミスターレディ」

何が素敵かって

私たちの前に突然現れた時、病人服であるパジャマなんて着てない。

PUMAの男性用ジャージ姿で、車イス競技の選手のようにかっこいい。

最初に声掛けられた時、私もえみちゃんも男性にナンパされたような気がした(笑)

声も太いので、男性なのか女性なのか、暫く探っていた私たち(笑)

限りなく男性っぽいレディーでした。


今まで同じ病棟にいたのに、全く出会うことがなかったのは

ミスターは救急車で運ばれてからずっと個室にいたから

それからこう言った

「だってみんな暗~いじゃない、そんな人たちと話してもこっちも暗くなるだけじゃない

だから近寄らなかったのよ、けど今、久し振りに素敵な会話を聞いたわ」


それから自分の話をしてくれた。

「私なんか医者に何て言われたと思う?

あなたの病気は、良くなる事はない、毎日少しずつ羽が抜けてく鳥のように、

今日出来た事が、明日は出来なくなるかも知れない、

それを心にとめて、毎日楽しいことをして暮らしなさい

そう言ったのよ。

最初はショックだったけど、正直に言ってくれたこと今は感謝している。

無駄なく生きる決心が出来たし、いつでも覚悟が出来た」

ミスターの気性を知ってるからこそ医者が言ったんだと思う。

覚悟の出来た人ってこんなにも人を惹きつけるのか、と思う。


今、ボランティアさんの助けを借りて海外旅行を楽しんでいること。

生きている限り、世界を歩き、写真を撮りたいと話してくれた。

えみちゃんにもアドバイス

「障害者手帳を利用して旅すれば、介助人も半額になるんだから、お母さんを連れて行きなさい。

それも親孝行よ、病気が進んだら私のようにボランティアさんを利用するのよ。

気を付けることはね、意地汚く食べ過ぎちゃダメよ、太ったら迷惑だし自分も大変だから、

自分で管理するのよ。

その代り、何もかも我慢しなくてもいいよ

私は好きなコーヒーとタバコだけは我慢しないことにしたの」

それからこんな発言も

「筋ジスなら間違いなく障害年金2級から1級になるのも早いから」

おいおい、それは言い過ぎ、と思ってたが

「え~、それは嬉しくないない」とえみちゃんから笑顔が溢れる。

「その為にはね、病気を受け入れなきゃ何も始まらない」

「泣いたって暴れたって何も変わらないんだから」


救急車で運ばれて来たのもこれで数回目、と言うが、微塵も見えない元気な発言。


明日朝、私は退院だよぅ、もっと早く知り合いたかったなぁ

「あら明日退院なの、もっといなさいよ」

ほんともっと入院してもいいと思うほどここは居心地がいい。

看護師さんが至れり尽くせり、何より優しいのだ。

寝たきりや介助の必要な患者が多いからか、実に行き届いている。

隣のベッドで寝ていたAさんを世話する看護師さんの様子を、私はずっと見て来たから

私も最後はここでお世話になりたいなぁ…なぁんて思ったよ。


退院の朝、私はミスターに挨拶に行った。

病気を受け入れるための葛藤、真っ最中のえみちゃんのこと。

ま、そんな心配しなくても、この人の存在そのものから学べるか。


数日後

えみちゃんからメールが

「BIGニュースです。ミスターが引っ越してきました、同室です、楽しいです」 


それからはミスターの日常生活の様子が次から次と届く。

「ミスターは手の力も弱くなっているので、車イスも電動です。でも

 自力でベッドから上手いこと移りますよ。一日に何度もスゴイ!。

 タバコ吸いたい欲が原動力のようです。」

「病棟の裏側にあるらしい秘密の喫煙場所まで行ってます。

 食後は確実に毎回、暇だとすぐにタバコに出かけてます。

 今度、タバコ仲間の退院祝いに宅配ピザを頼むつもりみたいです」

「糖尿病なのにアイス食べて、血糖値上がらないように水飲んで下げてました。

 確認したら本当に下がってた、ビックリ」

「本当に凄い、アクティブです。手や腕の力も弱くなっているのに、そんなの全然感じないです」


良かった、よかった、思った通り。

私も来月の来院日、みんなに会いに行くのが楽しみです。


入院と言う非日常を経験すると、普段では決して出会わない素敵な方に出会う事があります。

と、言う私の心に残る1ヶ月でした。



和ちゃんと入れ替わるように同室になった女性のこと、えみちゃんと呼ぶことにします。

Aさんと同じ病気です。40歳前半で独身です。

痩せた身体で、全身の力が入らず、トイレまで歩行器で歩くのがやっとの様子。

呼吸が辛くなり入院になりました。

筋ジスの患者さんは、病院内では皆さん夜は呼吸器を付けて寝ています。

えみちゃんも、入院して呼吸器を付けてもらい初めてゆっくり寝られたと言ってました。


和ちゃんと対象的に静かな人で、自分から語らないけど、少しだけ話してくれた。

独身で働いて来たけど、この身体になってから働く事も出来ず母親に負担をかけてばかり、

この先ずっと親の世話になるんだろうか、と辛そうな顔して言う。

不安と絶望と葛藤していた。


Aさんもそうだった。

このまま歩けない、ずっと寝たきりだと悟った夜、布団の中で泣いていた。

声を殺していつまでも泣いていた。

私もそっともらい泣きしてしまった。


そして、えみちゃんも。

目の前で同じ病気のAさんを見て、排せつさえ自力で出来ない姿を見て、

近い将来の自分の姿として受け止めようと、必死に葛藤しているようだった。


なんて残酷な病だろうか。

40歳そこそこで動けない身体になるなんて

80歳過ぎたってピンピン元気に暮らしている人が多いこの日本で


ある時、

身体の動きが鈍い私が、薬を飲んで数時間だけ普通に動ける様子を見て、二人がこう言った。

「たとえ数時間でも、一日のうち動ける時間があるなんて、羨ましい」


そうだった。私のほうがましだった。(あらイヤだこの言葉、和ちゃんの十八番だった)


私は聞いてみた。和ちゃんのようにストレートに

「今、一番の楽しみは何?」

「私、子供がいないから、妹の、一歳になる姪が可愛くて可愛くて、会うのが楽しみなの

それと編み物するのが楽しみかな」

それもいいけど、もっともっと楽しいこと見つけて欲しかった。

身体が元気になる希望がないなら、せめて楽しみを見つけて明日を向かえて欲しい。


私が退院する前日、思い切って談話室に誘った。

このまま明日お別れすることに、心残りが私の中にあって…

「余計なお世話を承知で言わせて、障害年金を申請すること今すぐ考えてみない?」

彼女、ネットもしないので、どの位の身体になったら出来るのか知識がなかった。

障害年金を貰うのは恥ずかしいことでなく、当然の権利だと話した。

そのお金で残りの人生をもっともっと楽しんで欲しかった。

そしたら彼女

「そうだわね、そうだわ、母を温泉に連れて行きたい、海外旅行にも連れて行きたい」

「それとあちこちの美術館に行って絵画を見たい」

嬉しそうな顔になり、暫し話が弾んだ。


その時、二人の会話を聞いていた人がいた。

その人物、そのタイミングで登場した。

「何話してんの?いいお話してるじゃない、私も入れて」

その方は強烈なキャラで、和ちゃんさえ比じゃなく、

車いすに座り、コーヒー片手に現れた姿は、男性なのか女性なのか分からないほど

かっこいいナイスガイで

宝塚の男役スターが還暦を迎えたらこんな素敵になるんだろうか

登場した時、私もえみちゃんもすっかり男性だと思った。


私たち三人は、時間を忘れるほど楽しく話は弾んだ。

何度も死と向かい合ったその方の、語る言葉はどれも説得力があった。

「泣いたってわめいたってどうにもならないのよ」

「病気を受け入れなきゃ何も始まらないのよ」

外見も語る言葉も素敵なその方に

初対面だというのに、私は惚れてしまった。


私とえみちゃんは、その方のことを「ミスターレディ」と呼んでいる。



続きます。

私が入院して4週目を迎えた頃、3月11日が今年もやってきた。

あの日から3年、

テレビで津波映像が流される。

私があの日体験した事、目の前で見て来た事、遺体安置所で見た出来事、

病室の2人に話した、


和ちゃんの目から大粒の涙が、次から次と流れた。

そして私にこう言った

「この病院に来て、今日ここで55さんから震災の実体験を聞けた事に運命を感じるワ

 私、聞いたこと忘れないからね、旦那にも話すからね、多くの人に伝えるからね」

私の方が驚いた。

初対面のいきなりパンチに、軽い知的障害と思ったことゴメンね

感情豊かな人だった、


そして和ちゃんが、一番最初に退院して行った。

「私がいなくなると寂しいでしょ、ねぇ寂しいでしょお」って言ってた本人が

一番寂しいらしく

退院したのに、それから毎日、朝、昼、晩にメールが入る。(´д`lll)

「今日の病院食は何だった?私がいなくなってから美味しいオカズが出たりしてない?」

あんた、関心はそれかい

それだけではなかった

Aさんの事を気にかけていた、

どうかせめてトイレだけでも車いすで行けますように

ベッドの上で看護師さんに排せつ介助してもらうことから卒業出来ますように

それが私と和ちゃんの共通の願い


何故か私、和ちゃんに好かれたらしく

「退院してもメールしていい?ずっと仲良くしてくれる?」

う~ん、私としては1ヶ月に渡った入院生活の楽しい思い出にしておくほうが…

と思ったけど、暫くはお相手させられそ


和ちゃんの話はここまで

最後に付け加えておくことがあります。

和ちゃんの置いて来た息子も19歳になり、意地悪な姑も亡くなって、去年から交流が出来た。

和ちゃん、とても喜んでいた、

少々悪さして鑑別所出て来た息子さんだが、見舞いに来た時の事

和ちゃん、また始まった

「この二人は難病で治らない病気だけど、私は治る病気なのよ」

あぁぁ、また始まったよ、と思っていたら この息子が怒った。

「母ちゃん、何言ってんだ、バカじゃないか、人にそんなこと言うもんじゃない」

「ホントにすいません、こんなバカな母ですいません」

「こんなバカと仲良くしてくれて、ありがとうございます」


最後にホッとしました。

和ちゃん、あんたの息子、いい子だね、自慢していいよ。
和ちゃんの、爆弾発言

まさか、まさか、それはないだろうと、そこまで非常識じゃないだろうと、思っていたが…

ふつ~に爆弾投下(笑)


すっかり目が覚めた私は、Aさんが返答に困っていたらすかさず助け舟をだすつもりだった

… …

Aさん、普通に答えたのです。(あ、書き忘れたけど二人とも同じ歳)

… …

「そんなもん、もうないさぁ」

… …

私の助け舟?

「そうだよねぇ」  助け舟にも何にもなってません (;^_^A

和ちゃん

「そうかぁ、うちはね *****」  誰も聞いてませんから (。・ε・。)


女って、そこまでぶっちゃけトークしちまったら、後は女子会

それぞれいろんな話になりました。

Aさんは、娘さん一人いるけれど旦那がDVな事

和ちゃんは、農家に嫁いだけど、姑と小姑にいびられ、耐え切れず浮気する。

それがバレて子供二人を置いて追い出された。

そして今は内縁だけど幸せな事

いつの間にか私たちの部屋にだけ笑い声が聞こえる


和ちゃんをよく観察すると、病棟中の患者さんに声掛けている。

隣りの部屋の寝たきりの女性にも、通りかかる度に話かけていた。

「おっはよー、今日は天気いいよ」

和ちゃんに聞いてみた、そしたらこんな答えが

「だってさ、一日天井見て暮らしているんだよ、たまには人と話たいさぁ」

この言葉に驚いた、確かにそうだ、でも誰もそんな事はしない。

この言葉を聞いてから、私は改めて考えてみた


Aさんが隣のベッドに来た時に、私より若い寝たきりの女性に、どう接したらいいのか

戸惑いがあった、

そのこと自体、彼女を最初から先入観持って接していた事になる。

和ちゃんはと言うと、

そんな心の下準備などしないから、私とAさんにしょっぱなから同じ質問をした、

彼女にとっては差別なかったんだ。


和ちゃん、友達に電話で

「同じ部屋の二人とてもいい人で良かったわ、だけど二人とも治らない病気なのよ

私のは治るんだけどね」

って相変わらずな発言は最後まで変わらなかったけど(笑)


後日、Aさんにした爆弾発言について私、苦言のつもりで言ってみた

「和ちゃん、さすがにあの質問はないと、私思ったよ」

そしたら彼女、ケロッとしてこう言った

「そおう?、だって子供だって産んでるんだし、ふつうじゃん」

えっ、

そうかぁ、うんそうだね、いやいやでも…

ここは和ちゃんに軍配かも

彼女の爆弾発言がきっかけで、私たち本音で語れるようになったのは確かなのだから


和ちゃんのこと、まだ続きます