少し前に初めて野村萬斎さんの舞台を観に行った。


玉置さんのコンサートに落選したからヤケになって他の人の舞台に行きまくっている、という訳ではない、が、その前は舞台『海をゆく者』を観に行った。ベテラン俳優陣の凄みを生で感じた。たまにはいろんなジャンルのものを見るのも心のひだが深くなっていいかもと思っている。



狂言は小学生の時に芸術鑑賞として体育館で『附子』を見たことがある。演者さんたちの表情、しぐさが面白く子どもながらに楽しかった思い出がある。狂言についてはその程度にしか知らなかったが、今回、ファリャの『恋は魔術師』のオーケストラ音楽に乗せて、歌舞伎やフラメンコを意識して振り付けられた日本舞踊の舞をするとのこと。なんと、気になるではないか。



会場は着物姿のお姉様方が多く、少々場違いなところに来てしまったかとも思うが席につく。



幕が開き、野村萬斎さん登場。素敵、素敵すぎる。佇まいが美しい。オーラが違う。低音ボイスで舞台の見どころを面白おかしく解説してくださる。全ての芸術に通じておられる様子に感服。



私は声の良い男性が好きだ。玉置浩二をはじめ、私が惚れた時系列で勝手に名前をあげたら、大沢たかお、向井理、玉木宏、ディーンフジオカ、津田健次郎(敬称略)、私の好きな声をお持ちだ。野村萬斎さんもやはり声がいい。



今まで見たことのない舞台に引き込まれ夢のような時間を過ごした。萬斎さんが舞台で転がるシーンがあったが、物音ひとつ立てずそれはそれは美しく華麗に転がられた。比較するのもおこがましいが、私があれを行った場合、まず、どすーんと音がして転がり方も全く美しくないだろうと容易に想像できる。足腰が丈夫で体幹が鍛えられてないと舞えないなぁと感心もする。



舞台中盤、萬斎さんが通路をすごい勢いで走って来られた。私の席の前は通路。目が合う。私の目の前でピタリと止まり演技された。私たち同じ空気3秒は吸ったね!と友達と盛り上がった。。でも実際は緊張して息を呑み込み呼吸が止まっていた私。



舞台に引き込まれて、あっという間に幕がおりた。バレエ音楽と狂言・日本舞踊が融合したら、こんな世界になるんだー。全く違和感はない。自然に全て受け入れられるこの感覚、大切にしたい。



何事も受け入れられる余白やゆとりがあれば、もっともっと穏やかに幸せに過ごせるなと感じるアリクイな日々。