『海と月の迷路』 大沢在昌 著 | 触媒【栃木市】宇宙因果の仕組み

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読んだ本の宣伝と転載

直感と妄想による推論が1%ほど含まれております。
個人的な解釈による思い込みなどを、
後にふり返って検証に使ったりしてます。

感想と推論はおおむね、
仮説立てと想像に基づいた個人的見解であります。
あまりペタしません。

 

 

はい、皆さまごきげんよう。

 

ご訪問くださり、ありがとうございます。

 

感謝、感謝、感謝、感謝。

 

 

というわけでね、

最近ドハマりしている、

 

大沢在昌 大先生の著書

 

『海と月の迷路』

紹介させていただきます。

 

 

いやはや次の日が休日とはいえ、

午前4時まで眠らせてくれないほど

面白い作品に巡り合えた出会いに感謝。

 

2014年 第48回 吉川栄治文学賞

という文学賞最高峰を受賞なさった作品でもあります。

 

時代設定、物語の舞台、語り口の導入など、

当方にとっては最高に面白い作品でありました。

なにしろ登場人物に関根さん出てきますからね。

 

 

━━ 転載 開始 ━━

 

 

講談社文庫 下巻 P392
 
解説  
郷原 宏 (詩人・文芸評論家)
 
中略
 
大沢氏が2013年9月に毎日新聞社から上梓した
『海と月の迷路』は、

古くからの大沢ファンを驚かせた。

およそハードボイルド作家らしからぬ

抒情的なタイトル、

 

退職警官が回想のなかで

事件を語るという過去形の物語形式も

さることながら、

 

その物語の舞台と状況設定が、

それまでの都市型ミステリーとは

まったく様相を異にしていたからである。

 

日本推理作家協会の理事長を

つとめたベテラン作家が、

まだ新形式への挑戦をやめないのかというのが、

私たちファンのうれしい驚きだったのである。

 

この作品は当然のことながら

ミステリー界の耳目を集め、

翌2014年に第48回吉川栄治文学賞を

受賞した。

 

『新宿鮫』で吉川英治文学新人賞と

日本推理作家協会賞長編部門を

同時に受賞したのは1991年の

ことだから、

 

新人賞から本賞受賞までの間に

23年という歳月が流れたことになる。

 

大沢氏はそのよろこびを

「受賞のことば」のなかでこう語っている。

 

《 23年間はあっという間にすぎた。

書き、遊び、書き、遊びの繰り返しだった。

仕事嫌だあ、書きたくねえ、

子供のように駄々をこねる私を、

 

なだめすかし、

恫喝したすべての編集者、スタッフ、

友人、家族。とにかくあなたたちが

いてくれたおかげで、

 

この遊び好きのしようもない男が、

吉川栄治文学賞という最高の栄誉を

うけることができた。

 

ありがとう、なんていっても、

いやいや、これからもがんばってくださいよ、

と返ってくるだけだろう。

 

だが、嬉しい。本当に嬉しい。

そして寂しい。

 

もう作品でいただける賞が

なくなってしまうのだ。

何を励みに、人参と思ってやっていけばいい。

 

そうだ。君たちの笑顔だ 》

 

 

こんなに開けっぴろげで楽しげな

「受賞のことば」も珍しい。

 

まさに「遊び好き」の

作家の面目躍如といったところだが、

 

この作家を走らせる「人参」のなかに

読者の笑顔が含まれていないらしいのは

少し寂しい。

 

読者もまた、

この作家の受賞を心から祝福し、

「これからもがんばって下さいよ」と

願っているのだが……。

 

物語は、N県警察学校校長を最後に

退職することになった荒巻正史警視が

送別会の宴席で後輩の刑事にせがまれて、

 

36年前の「あの話」を語りはじめるところから

幕を開ける。それはつまり今だからこそ

話せる事件ということだから、

 

その場の出席者ならずとも

聞き耳を立てずにはいられない。

毎年おびただしい数に上る

警察小説のなかにあって、

 

この『額縁』の設定自体がすでに

大沢氏ならではの新機軸といっていいだろう。

 

 

━━  転載 終了 ━━

 

 

以上であります。

ありがとうございました。