「経験による学習のジレンマ」 | 続・教育のとびら

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教育・成長・人の発達・組織論などのブログです
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主宰 福島 毅(どんぐり)

最強組織の法則(ピーターセンゲ著)によれば、

****ここから引用 p325
人間が最高の学習を得られるのは直接の経験からである。試行錯誤を繰り返し、歩くこと、自転車に乗ること、車の運転、ピアノの弾き方を学んでいく。われわれは行動し、その結果を観察し、修正を加えていく。しかし「行動からの学習」に効果があるのは、行動のフィードバックが迅速で明確な場合に限られている。複雑なシステムのなかで行動すると、その結果はすぐに出てこないし、明確でもない。時間的、空間的にかけ離れている場合も多い。これが「経験による学習のジレンマ」を引き起こすのである。経験から学習するのがベストなのだが、ひじょうに重大な決定の結果を、われわれは決して経験できないのだ。では、どうやって学習すればよいのか?
****ここまで引用

さて、そこで、著者のピーターセンゲらは、マイクロワールドと呼ばれるMITが開発した企業経営のコンピューターシミュレーション実践の様子をレポートしていきますが、それはさておき、学校の場でも直接経験がなかなか難しい学問分野も多いです。代表例では室内スケールでは再現できない地学系の現象の学習などがあります。

子供たちの昔の遊び場にはシーソーやブランコ、回旋、うんてい、砂場などがあったのですが、こうしたもので遊ぶ中で例えばブランコからは振り子の原理や周期などを学んだかもしれませんし、回旋などでは遠心力について実感がありました。積み木やお人形さんで遊ぶことについても、バランス感覚や立体感、コミュニケーションのシミュレーションとしての役割が詰まっていたと思います。

子供のおもちゃは、今は複雑になりすぎて原理をたどるのが難しいし、わからない。これは一種、想像性・創造性を奪っている側面を感じますね。

当ブログでは、再三、幼少期の遊びの大切さを訴えているのですが、まだまだ社会には浸透していっていないようです。そうこうしている間にも、子供たちの遊びのスペースが消えていき、大人が管理するような遊び場が増えていっている気がします。

保育園・幼稚園の中には、自然に近い遊び場の提供をしたり、子供どうしのケンカ・争いなどもどんどん意図的にさせるところ、子供たちがうまくルールや遊び方を生み出していけるような配慮をしているところやプレイパーク構想などもあります。そうした実践について、また情報を見つけましたらレポートしたいと思います。