国内では「日本は強い国」「力を合わせればきっと大丈夫」といったテレビ・コマーシャルが流されています。確かに被災地を勇気づけることは大切ですが、具体的な内容を欠く掛け声だけでは、どうなんでしょうかね。


海外では日本人の冷静さ、秩序正しさなどが称賛されていますが、こと原発に関しては、別です。


ジャックアタリ氏は、もう自国民を危険にさらして顧みない日本国政府は、情報開示においても行動においても、信用できない。それどころか、もはや、危険極まりない存在と化している、として、日本の主権を侵してでも、原発問題解決に国際社会は行動すべきときだと鼓舞している。


これは5日のTV朝日ニュース番組で古館キャスターは極端な意見といなしてみたものの、真実を言っている側面はあるといえるのではないでしょうか。


この論理の背景には、リビアに多国籍軍が介入したロジックと同じものがあります。リビアのカダフィ大佐も自国民に攻撃を加えている。国連も国際社会もそれを見逃すわけにはいかない。だから、リビアの主権にかかわらず、介入し軍事攻撃するのだビックリマークという理屈です。


リビアと違って、日本の管政権は自国民に自衛隊をむけてはいないけど、それと同じだといっているわけで。


確かに、今、福島原発はコントロールされていないのは事実。このままいけば、メルトダウン、さらには高濃度の汚染水が出ていることから圧力容器に損傷アリの可能性大・・・となると、このままチェルノブイリ型の爆発が起きる可能性もオオアリ、という状況です。これは人類に対する罪です。だから、介入を積極的に認めた方がいい、そう私も思います。


米国とフランスからの専門家援助を歓迎するといいつつ、原子力安全保安院との関係でそう位置づけて国際的協力体制を構築するのか、については、当の保安院からも経産省からも管首相からも、枝野さんからも一言もありませんから。


何度もいいますが、今原子力安全保安院でスポークスマンしている西山氏は、専門家ではない経産省の官僚です。(東大法学部卒、ハーバードMBA出という話です。)


ジャックアタリ氏の文章の翻訳がブログででているので、転載します。


以下、引用。


「全力を尽くして福島と人類を救う」ジャック・アタリ氏 Slate.fr 2011年4月1日付

訳注:ジャック・アタリ氏略歴(Wikipedia:「ジャック・アタリ」記事 より)
(仏: Jacques Attali, 1943年11月1日 – )は、フランスの経済学者、思想家、作家。アルジェリアの首都アルジェ出身のユダヤ系フランス人。パリ政治学院卒業。経済学国家博士。初代欧州復興開発銀行(BERD)総裁。フランソワ・ミッテランの側近中の側近で81年から91年まで大統領補佐官。91年から93年まで初代欧州復興開発銀行総裁。指揮者としてオーケストラを指揮したこともある。2011年1月10日、菅直人首相が八重洲ブックセンターに立ち寄り、アタリ著『国家債務危機』を購入したと報道された。


福島原発が放射性物質を大量に撒き散らすのを防ぐために、国際社会はただちに行動を起こすべきである


事態は深刻である。中期的に人類の安泰を脅かしかねないシナリオが現実のものとなる可能性はもはや排除できない。もし福島の原子炉の使用済み核燃料を貯蔵している容器やプールが熱や爆発もしくは余震で損傷を受ければ、大量の放射性物質が液体や気体の形で、大気、海ももしくは地中に放出されることになり、とりわけ三号機の場合、それは大量なプルトニウムの放出となる。そうなれば、日本国土の一部は居住不可能になるほど汚染される ことは確実であるが、地球全体に汚染が及ぶ可能性さえもある。


これもすべては日本の原子力行政当局が、純粋に財政的採算性のために、この原発を建ててはいけないところに建て、そのうえ、提案されるあらゆる安全措置の設置を怠ったからである。そして、事故の当初から、この同じ当局は事故の処理にミスに次ぐミスを重ね、原子炉を何日も冷却せずに放置し、まだ正常だった保護システムを修理不可能にまで損傷させた。そして、プライドと秘密主義の混ざった心理からか、国際的援助を長い間拒みつつ、最初から世界規模の動員を要する大災害だとおそらく認識しておきながら、真実を明らかにしようとしないのである。


このようにして日本当局は最小限の情報しか与えないことにより、素晴らしい日本国民、とりわけ低賃金で適切な訓練も受けずに大変危険な作業に投入されている作業員たちを危険にさらしている。自分たちの嘘がばれないために、これらの責任者は外国専門家の協力を受け入れようとせず、地球全体をも危険 にさらすのである。

それにしても、少々でも人権侵害があるとすぐに反応したり、憤慨したりしてきた(それ自体は良いことではある)国際社会が、このケースに限って変に遠慮深くなるのはなんとも不思議である。日本の責任者に何をやっているのですかと恭しく尋ねたり、こちらが申し出た援助を断られてもそのまま引き下がったり、自国民を日本から撤収したり、平静を呼びかける声明を出したりするのである。民衆の恐慌を引き起こさないためか、それとも自国の原子力産業を救うためか。はたまた、数日の間だけ枕を高くして安眠するためか。


まったく馬鹿げている。原子力産業を救うには先ずこの事故を出来るだけ早く解決することが先決であろう。そのためにはあらゆる叡智と技能を集めた世界的なコンソーシアムを至急設けることである。われらが日本の友人たちは、事故処理に長けた世界中の最良の専門家たちをただちに受け入れるべきである。この原発の中になにがあったかを把握するにはこれしかないのである。これら専門家の意見を待たずに、いまからでも、ヘリコプター、消防器具、ロボット、セメントミクサーなど、ありとあらゆるものを空輸し、これらの原子炉を封じ込め、この災害を終結させなければならないのである。もう内政干渉の是非をとやかく議論する場合ではない。行動するのみである。

出典記事:http://www.slate.fr/story/36383/sauver-fukushima-japon-humanite