人間関係だけではありません。企業にもdeep cultureはあるんですね。この場合、deepというのは、表からは決して見えない、invisibleという意味と、その企業に居る限りだれでも共通に有しているハイコンテクストで、いわなくてもよくわかる特有の空気と言う意味の二つの意味を込めまして。
今回はその3回目。
富士通です
。
『富士通
は2009年9月、当時社長だった野副氏が「病気療養」を理由に辞任する
ことを発表。社長交代に関する記者会見では、代表取締役
会長(当時)の間塚道義
氏自ら報道陣の質問に答えていた。しかし、2010年2月26日に野副氏は富士通
に臨時取締役
会の開催を要求する文書を送付。3月3日に富士通
が拒否する旨を通達し、同5日に問題が明るみとなった
。
その後、富士通 は3月6日に野副氏を相談役から解任 し、社長交代の理由を「好ましくない風評」を持つ企業グループと付き合っていたためと変更 していた。
こうした一連の動きを受け、野副氏の代理人である畑・植松法律事務所 の畑敬 弁護士 は3月7日にZDNet Japanの取材に応じ、富士通側の反応に真っ向から反論 。辞任理由 の「病気療養」について、通院自体は認めたものの、肩こり解消のために針をやっていた程度であり、病名も診断書も存在しないとしていた。』
まあ、これが発端で、実はニフティの件で、反社会的勢力とのつながりがあったというのがその辞任を求めた理由だったようです。![]()
『元の社長の辞任の経緯と当社の見解
』というこの資料に会社側の見解が書かれています![]()
私の感想としては、
①富士通は、昔「内側から見た成果主義」で、大失敗をしたとされています。このネガティブなイメージはまだぬぐえていません。![]()
「売上高1兆円、経常利益1000億円の絶頂から、わずか十数年で無残な「負け組」へ――。日本を代表するリーディングカンパニーの富士通があっという間に転落したのは、同社が1993年に鳴り物入りで導入し話題になった「成果主義」が一つの原因ではないかと見られている。目標シートも書けない管理職、主導権を握ろうとする人事部、やる気を失っていく社員たち……新しいシステムがいかに会社組織を病んでいったのか、同社の元人事部員で成果主義を推進する立場にあった城繁幸氏が赤裸々に語る。」![]()
②また、富士通の発表したこの経過説明書の4ページでは、元社長さんを数名で説得して辞任に至らしめた場面が語られていますが、このなかで元社長さんに辞任届を書かせた後、定例取締役会で、元社長さんの取締役辞任を「決議した」とあります。でも、取締役会の決議事項にはこんなことはもともと入っていません。不思議な言い方をしています。
しかも、、富士通社側が「当社の見解」として「裁判所は、客観性・公正さが担保された究極の外部調査委員会である」とされています。これも裁判所は争いに決着をつけるだけで、外部調査委ではありません。
つまりこの場合、当該ファンドが反社会的勢力でないにもかかわらず、さも反社会的勢力であるかのように説明され、これを誤信してしまって辞任届にサインをした、という一連の事実を立証しなければなりません。しかし、もし裁判官が「当該ファンドが反社会的勢力と言えるかどうかわからない」という心証の場合、結局裁判では元社長さん側が負けるという結論となります。そうしますと、出てきた裁判所の決定から一般に認識されるところは、富士通社側が勝訴した、つまり当該ファンドは反社会的勢力ということが証明された、となるわけであります。でもこれは立証責任が果たされていないから黒白はっきりしないときは、負けにする、という約束にすぎず、外部調査の黒白の決着をつけるわけではありません。それが法的理解です。
つまり、富士通の会社法制への理解がこの程度だとすると、かなり法知識が乏しい状態で、経営をされていることを暗示しています。
これもどうも富士通という会社の組織文化がガバナンスがきいていないんじゃないか、という疑念を持ちます
。
そして、こういう問題というのは、事あるごとにこのように表に浮かんでくるものなのですね。
一流企業かどうか、上場企業かどうか、ということとは、直接関係ないのかもしれません。そして、その組織風土と言うものは決して表面にはでてこないけれど通奏低音のように底に眠っていて、何かの拍子にこのように表に出てくる、しかもスキャンダラスに・・・・ということなのでしょう。
ぜひとも富士通さんにはしっかりとガバナンスを効かせた経営をしてほしいものですね。そうでないと、グローバルマーケットに挑戦するどころの話ではなくなりますから。
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