確かに、クルマのCMにこどもを起用する例は非常にめずらしい、というか例がないと思います。クルマに乗せられるのが「こども」であって、こどもは乗せる側の人ではありません。
クルマに乗せるのは犬です![]()
http://www.youtube.com/watch?v=YM4sKMCpgYo
かわいいですよね。気持よさそうですね。同じかわいいでも、カワイイというロリータ趣味は皆無の「洗練された愛玩性」が出ています。これはソフトバンクのCMにも関連がありますね。そういえば、西欧ではこどもも犬も、ともにしつけの対象です。
まあ、これは冗談にしても、こどもはCMには出てこない。出てくるのは、男と女です。たとえば、このベンツEクラスのCMの居眠り運転バージョンも隣にいるのは女性です。わかりやすく機能を説明しています。機能中心でいながらロマンティック![]()
http://www.youtube.com/watch?v=BqbYd54gI9A
ドイツ車の典型であるベンツ車は、このように男女関係を暗示するものがかなりありまして、かつてのCMにSクラスを運転して雪原をひた走るバージョンがありました。あたり一面雪野原で真っ暗です、不安がよぎります、目的地は人里離れた雪の中にたたずむ山小屋、そこに女性がセクシーに待っている、そこに奥さんからクルマに電話かかりますが、「ベンツにのっていれば、どんなことがあっても大丈夫!」っていうコメントがかぶる。
日本ではこういうのは不謹慎だとしてNGですよね。
それにしてもベンツは男女関係にこだわるのですが、そのこだわりが今ひとつ意味不明のものがあります。
http://www.youtube.com/watch?v=32UF6qPIWHQ
これなんですが、どうなんですかね。ただし映像のインパクトはありますね。美女軍団の迫力は素晴らしい
。とにかくベンツは、乗る男女の機微を満たすことをニーズとみなしてマーケティングしています。
もっと、ストレートにクルマとセクシーさを前面に出すのが、ポルシェです。これはクルマが男の象徴としてとらえられているところに興味があります。これも日本のCMでは絶対に放映できないものと思われます。でもヨーロッパではこれが普通なんですね。このセンスの違いに注目。
http://www.youtube.com/watch?v=Xg39kY0muv8
Masculinity vs Femininity の価値観でいえば、あきらかに前者ですね。確かにヨーロッパの人にとって、とくに経営層にはポルシェにのることは力づくで手に入れた栄光という感じで、社内のサウンドも強い印象がします
 もっとも「国家の品格」論者には無縁かもしれません。
同様に、このベンツのCMは異様な妖怪というかモンスターが女性を襲撃するバージョンです。クルマが(女にとって)オトコのモンスター性を暗示させています。これはシンボリックで秀逸です。ですが、これも日本では無理でしょうね。得体のしれないものを嫌うのが日本人です。
http://www.youtube.com/watch?v=VsiUiO1luGQ
以上のように、こどもっぽさとかカワイイを前面に出す広告はひとつもありません。クルマの趣味はサブカルチャーなんですが、哲学や宗教(カトリック)というメインカルチャーの路線上にあります。表に出すもの、マーケティングはあくまでメインカルチャーなんですね。ところが、カワイイ路線は大人の嗜好と全く逆だし、サブカルチャーとしての魅力をかんじさせないです。日本人からするとモンスターバージョンのようにメインカルチャーに奇襲攻撃するような意外性を感じますが、もともと西欧にはこのような嗜好があるのですね。
それでは何を広告で訴えているかというと、男女関係など、クルマにまつわる光景、クルマで満たされる風景です。そして、なによりもクルマの性能です。購買者の購買動機というニーズがクルマの性能であるとすれば、それにぴったり寄り添ったマーケティング、その典型が、このアウディのCM。まずは、ご覧あれ。
http://www.youtube.com/watch?v=9YKH6eX-CJI&NR=1
美しいですね。シビレル洗練の極みですね。スキのない精密なメカニズムを象徴しています。機能を表現しています。モノ作り大国の日本とは違うドイツのモノ作りの極みのイメージです。まあ、とても、こども店長のすすめる品物は買う気がしません。このようなものが西欧においてメインカルチャーに対抗するサブカルチャーとしてのポップ性なんだと思います
。
このアウディのデザイナーが、フェラーリの奥山さんと似ていて、ある日本人の方であること、ご存知でしたか?
その彼のコメントです。
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