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今日のヒルズは曇りです。


いつものことながら、六本木駅を降りてエスカレーターを上ったところ、ヒルズオフィス棟の入口前は、この像をき記念写真に撮る人が多いですね(とくに外人アジア系旅行客)。mamanという名でルイーズブルジョワさんという人の作品なのですが、モチーフはスパイダーつまり大きな蜘蛛です。


終わったばかりの横浜博でもフランスから来た機械仕掛けの大蜘蛛ロボットが人寄せに使われていましたが、フランス人は蜘蛛が好きなんでしょうか。


小さな子供がこの蜘蛛ロボットを見て、「気味が悪い」といってぐずっていて、乗ろうとしなかったのが印象的です。つまり、グロテスクなんですね。


それでこの作者の蜘蛛のテーマはrelationshipつまり人との関係性ということで、実はここヒルズ前だけでなく、何個も同じものがカナダやその他のところ(ロンドンのテート美術館)にたくさん同一デザインで蜘蛛の像が置いてあります。


なんでこんなにグロテスクなものがヒルズ正面にあるのでしょうか?


なんでrelationshipがテーマなんでしょうか?


この作者、そのテーマは実は幼少時代の経験にある、といいます。つまり、どういうことかというと、彼女の父親は、女性家庭教師(家に住んでいた)と関係をもち不倫関係に落ちますが、彼女の母親は、それを承認するのを拒否したわけです。彼女にとってはそれが、生まれたとき以来の父親の「衝撃的なイメージ」であったといいます。 怒り、裏切り、および嫉妬の気持ち。 彼女の作品のいくつかがエロティックで性的なイメージがあるといいます。たとえば"cumuls"のモチーフで積層雲についてだといいますが、 彼女の最も有名な作品は、このMamanと題をつけられた、クモの構造物です。 1949年以降美術界からは無視され、そのうち夫とニューヨークに行くんですがあまり芽が出ず、彼女が芸術家として有名になったのは、この夫と父親が死亡してから以降、というわけです。実にフロイト的な生い立ちです。


ママンは、実は、怒り、裏切り、嫉妬の表現だったんですね。


それがヒルズの前に屹然と立っているわけです。


みんな、こんなことは知らないでしょうね。ヒルズの住人たちのことを考えると、ある意味シンボリックなのかもしれません。