去年の12月くらいのブログで、「夫の従姉妹が巫女さんだった」話を書いたけど
(→ 山の神さまのこと )、
夫の母もなかなかの魔女だと思う。
白魔術も黒魔術も両方発信する(無意識に)。笑
今回は村での滞在が長かったので、そんな義母の色んな面を見た。
何故「魔術」を使ってると感じたかと言うと、
「周囲をコントロールするため」に色んな「技」を繰り出すから。笑
自分の思い通りにならない時は、嘘泣きも入る(半分は本気)。
愚痴なんて挨拶代わり。
(でも人を批判したりはしない。
悪口は言わない様わきまえてる)
人のためには明らかに省エネ行動、
しかし自分の利害には全力で突進する。
(ほぼ他人の事には興味がない)
でも、噂話は好き。
そんな生命力抜群の、村でも有名な1人暮らしの頑固ばあさん。
私といる時はいつも「痛い痛い」と弱気を装うんだけど、よーく観察していると、とんでもない量の作業を一人でこなしている(人もビシバシ使う)汗。
一族が一年間食べられる量の小麦とトウモロコシを栽培し、他にもニンニク、ターメリック、玉ねぎ、ハーブ、果物等を栽培。自然農でも手がかからない訳がない。
水の供給が途切れる事も多いため、何かと近所の人に作業を頼むようになっており、自分は鬼監督に変貌する。水道局に強めの抗議の電話も欠かさない。
どこでもゴロ寝できる特技があり、特等席をわきまえていて、いつの間にかその時間帯で一番風通しの良い場所に椅子付きで縦横無尽に移動する。
「腰が痛い、足が悪い」と言う割に、ものすごい高速で野山を移動する。健康な私の2倍速。あの勢いはどこから来るのか?
滞在中のある晩、1匹の狂犬が村を襲ったことがあった。
夕食後離れの家に戻る時、黒と茶色の長毛の犬が敷地を猛ダッシュで横切るのも見た。いつもは見ない犬。
近隣の飼い犬たちが一斉に吠え始める。その夜は嵐も近づいていて、隣の森も不穏にざわめいていた。私は気が気じゃなかく、でもお義母さんはさっさと戸締りしてご就寝。私も何も聞こえないフリをして寝た。
翌朝。近所のおばちゃんが来て、簡易ベッドにごろ寝スタイルのお義母さんに何やら相談してる。「何話してるの?」と夫に聞くと、誰かが昨夜の狂犬に噛まれたらしく、
「母さんに薬をもらいに来た」と。
「?狂犬に噛まれたら病院じゃないの?」と言うと、
「病院も行くけど、その後に使う薬。母さんは山で植物を採って薬を作るんだ」と。
「アーユルヴェーダみたいなものだよ」と夫は言う。伝承の家庭療法のようなものだろうか。
アメリカインディアンにもメディスンマンがいるし、北海道のアイヌ民族の知人も山で植物を採る。お義母さん、世界の先住民族みたいでカッコイイ。
でも大自然の近く暮らすのは、私にはヘヴィーな体験だった。
そもそも、村に到着した頃からグンと「重力が増した」様に感じていた。何故なのかは分からない。緑が多く空気もキレイで快適なはずなのに、町で暮らす毎日よりも格段に身体が重いのだ。「アパートは3階だけど、ここは地面に近いから?」と考えてもしっくり来ない。
まるで磁場に引っ張られる感じ。
自然の影響がモロに直撃する感じもある。人も作物も天候に大きく左右され、自然現象にも天の?メッセージを感じるようになる。
私が呑気に「ハイキングしたい!」と夫と歩いた森も「神聖な場所で良くない精霊もいる」らしく(後から言うな夫よ)、次の日は意味もなく気持ちが沈んで寝込んだり。本当に美しい場所なんだけど。。
草原を覆う松の林には数え切れない種類の小鳥が訪れ、途中キレイな小川が流れていて、あちらこちらに野の花が咲いたりベリーが生ってたり。エデンの楽園のよう。
でも毒蛇もいるし、水色の花が咲く毒草もある。
眩しすぎる光と、見てはイケない影を内包する大自然。
その側で暮らすのはサバイバルかもしれない。気性も荒くならざるを得ないのだろう。
自分の興味や利得を最優先しなければ、あっと言う間に色々失いかねない。
村の人たちとの近所付き合いはギブ&テイクの関係なのに、常にお互いを見張るような緊張感もある。親しい間柄ではお礼や挨拶は「無駄口」と言う認識。
近所の人が来て話す事も、「あの人がいくらであれ買って○○だった」、「あれを買うんだけど、どこがいい?」とか、実利的な話ばかり。
ほぼ仕事中のオジサンの会話。そして電話では愚痴る。
しかし、時には猫なで声?も繰り出す。嘘泣き同様、高度なコミュニケーションスキル。一度夫に「どうしたらいい?私困っちゃう〜」的に甘えて言うのを見て、回れ右して退散した。色々使い分けますね!笑
乙女なところもある魔女。笑
「人間こうも自由でいいのか。。?!」と驚嘆してばかり。
私は圧倒されっ放しだでも、実はお義母さん、私には良くしてくれる。息子たちに作業の怒号を浴びせた後、こっそり私の部屋に来て亡きお義父さんの思い出話をしたり、得意そうに料理を教えてくれたり。
疲れた時は私を頼って来てくれて、レイキやマッサージしたり、一緒に呼吸法の練習をしたり。
実は私のことを偏見なく見てくれようとしている。でも私が受け取れる精神状態じゃない事が多くて。笑
出来れば私も、表面的な違いで衝突せずに理解し合える方法を探したいと思う。
言われた事を誤解して反感を持ったり、自分のロジックで思い込んで早とちりしたり、大きな声や激しい言動に圧倒されて殻にこもったり。譲れない事を必要以上に主張してしまったり。
滞在後半には、お義母さんに負けない大声が出て自分でも驚いた。笑
「人として」許せないとか「常識的に」良くないとジャッジして、私はこの土地と暮らし、ここの人たちを、全然ありのままに見れていなかったのが事実。
でも心の底で感じているのは、私の大切なご縁のある人たち、愛すべき、学ぶべき人たちだって知ってるのに。
滞在中、色々と必要のない衝突を仕掛けたのは私の方だったかもと、滞在記の後半を書く前に思い当たった。それでお義母さんのもっと違う面を思い出してみたかった。
お義母さんは、森の魔女と思うことにした。
都会から小手先の知識で乗り込んで、その魔法を奪ってしまいたくはない。
私もまた自分の新たな側面を開発して、この未知の領域で自分の良い所を活かして行けたら、ビビって頭爆発する回数も減るのだろう。
そんな希望を込めて。
大声だけはどうしても苦手だけど。