昨日の夜。毎週日曜恒例の野菜市で買い込んで帰って来たら、大家さんの飼ってる野良犬の「シロ」が戻って来てた!
シロはおっとりした白い老犬で、大家さんが営む小さな店の前でいつもグゥグゥ寝てる。5月に日本に帰国する前は、毎日その平和な姿を見せていた。でも私が8月に帰ってからは姿が見えなかった。夫に尋ねると「言いずらかったんだけど。。」と。
ある晩何者かに襲われて、目を潰されてしまったと。。。その日からシロはどこかに逃げてしまったらしい。
そんなショックな事を聞いてからは、夢にまで出てきたシロ。そのシロが昨日、2ヶ月ぶりに店の角に姿を見せた。確かに、左目はすっかり傷跡だけになり、再会を喜ぶ私たちを右目で一生懸命に見てクンクンしていた。こんなに無害でかわいい子なのに。
決して平和なばかりではない、インドの三丁目。。
今日もすっかり抜けるような秋空だった。ナヴラトリ2日目の月曜日、近所の人たちがこぞって青空に洗濯物をたなびかせている。それを眺めながら、私もバケツとタライでお洗濯。今日の鼻歌は涙そうそうだった笑。
数年前には想像もつかなかった、インドの生活感の只中にいる不思議。。。
空が青いと、色々と思い出す。笑
日本にいた3年前、契約社員として英語教育の幼稚園と学童保育のマネージャーをしてた。子供たちは本当に可愛く賢くて(ドクターのご子息多め)、ドイツ人のヘッドティーチャーの指導は毎日刺激的で。
私自身、子供の頃から好きだった英語を指導する場も十分で、ジュニア英検や英検は毎回全員合格させてあげられたし、保護者の方々と共に成長する喜びを味わい、頭も身体も動かす充実した日々。
でもいかんせん、土日も休めない鬼職場。
特にマネージャー職は激務だった。
「仕事はスポーツ」と思い込んでたほど。今となっては、もう少し粘って続けていれば。。と日本生活に未練はあるけど、でも肝心の、長続きするバランスは失ってたかな。
辞める時はお手紙やプレゼントをいただいて、優しい言葉で惜しんで下さる方々もいたのになぁと、インドの下町で洗濯をしながら、その気持ちの温かさをふと思い出した。
20年のキャリアの中でも不思議と活躍できていた時代(一瞬だけど笑)。でももう分かってしまった。私は忙しさに「心」を「亡くし」たくなかった。夢だったインドへヨガ指導者養成合宿に飛んだ。
ヨガの毎日は新たな学びの連続。。のはずだったんだけど、そこは流石のインド!で笑、見た事もない新たな問題に直面する日々。
閉じていた感情はこじ開けられたし、抱えてたトラウマも再燃した。日本の日々で我慢してきたことは、インドでは通用しない。ヨガでは見破られてしまう。
恥ずかしさ、罪の意識、後ろめたさ、傲慢さ、固まっちゃったプライド、空虚にしがみついてた何かを、否が応でも手放す出来事ばかり。でも周りには優しく、厳しい人たちに恵まれた。
怖くても開いて開いて、もう一度、生きている感覚を取り戻しかけていた。
そんな時にヨガの先生のお義父さんが亡くなり、お葬式のためにトレーニングは途中で延期。それで現地で知り合った日本人の友だちと、スピティ渓谷にバスの旅に出て。飛行機も飛んでない、観光客も極端に少ない秘境で、この世のものとは思えない絶景の中、山頂に佇む古代チベット寺院を巡った。
そこで夫に出会ってしまった。笑
その後ヨガのトレーニングに戻っても、毎日メッセージをくれてた夫。半分無視して、半分面白がっていた私。インド人はすごいなー。日本でも若い子はみんな、こんなに一生懸命恋をするんだろうか?って思ったり。

私の誕生日にはダラムサラまで訪ねに来た夫。合宿先の仲間は「バースデーパーティー」と言いつつ、今思うと彼を吟味してくれてたっけ。笑
長期滞在でヨガを続けて、旅をしながら生活する彼らの多くは、言ってしまえばスピリチュアルの求道者。常識には全くとらわれず、上辺の話はしないし、人柄はオーラと占星術で観て笑、一期一会で一生の友にもなる。
みんな現代の魔女と魔法使い。
社会の枠組みに縛られて生きるのには感覚が豊か過ぎて、試行錯誤の末、ヨガを始めた人も多かった。私もそうだったように、抑圧したり、閉じてなかったことにしてきた過去と誠実に向き合おうとしながら、辛くても一歩踏み出すことを選んだ若者も。
私は彼らを一括りに(ヒッピー)とは決して呼ばないだろう。
(少なくとも私が会った人たちは)
一緒に過ごして話を聞いたら、そんな言葉では括れない深味のある人ばかり。
昔は企業戦士だったり、一生の恋に破れていたり、約束された家柄に意味を見出せなかったり、うまく家庭を築けなかったり、お国が戦争ばかりしていたり。
そして、感情が麻痺するのに耐えられなかったまともな人たち。
みんなもう一度、生き生きと生きるために、過去から立ち直ろうとしていた。
一括りになんて出来ない、人間の豊かさに出会った経験だった。
私が夫と一緒にチャンディガールに行くことを決めた時も、そんな仲間たちは心配半分、でも喜んで送り出してくれた。一番仲良しだったドイツ人のルヴァーナは、その後もいつもメッセージをくれて。
インド生活の長い彼女はその昔、インド人彼氏からDVに遭った過去を打ち明けてくれた。だから人一倍私を心配してくれて。「インド人の男性は幼稚で感情的な人もいるから気をつけて」とか、
「インドの下町で、インドの主婦みたいにずーっとアパートに居るような暮らしがカオリに出来るの?」って。
その時は「そんな訳ないじゃん!」って、何も分かってなかった私。そんな事が出来るタイプじゃなかったのにね。
DVは全然ないけど(むしろ私が気を付けよう)、インドの主婦みたいな暮らしは相当だったわよ〜〜って、しばらく連絡してないルヴァーナに言ってあげたい。
私、相当頑張ってるよって。笑
でもねー今、感情はまた、少し閉じて来ちゃってるかもって。
生徒たちと走り回って笑い合っていた時代や、ヨガで出会った仲間と語り明かした日々を懐かしく思う秋の日。
それでも人生は続いて行くんだね。。。
さて、ラージマ・ライスでも作ろうか。笑