ゴジラ登場から62年、それは永遠の教訓であるべきだ。 | 宮脇 流の「昭和を話そう」 ( BOSSのブログ)

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70年代や、あの時代に輝いていたアレやコレや。
クリエイティブディレクターが語る、「思い出のエッセイ」です。

キングギドラ

東京オリンピックが開催された52年前の1964年、正確には12月20日に写真の映画が公開された。「三大怪獣 地球最大の決戦」である。三大怪獣とはご存知 ゴジラ、モスラ、ラドン。この地球の三怪獣が力を合わせて、宇宙怪獣と対決するというストーリーなのだ。キングギドラという三つ首竜の恐ろしい姿に驚いたのはもちろんだけれど、もっと驚いたのはゴジラが地球の味方になったということだった。思うに、この時からゴジラはなんとなく正義になっていった。そのうち、愛嬌のある子供(ミニラ)が生まれたり、シェーまでしたりで、ゴジラは人間のペットに成り下がっていく。人気というのは怖い。万人に受け入れられてしまうと、存在価値さえ無くなってしまうということを、当時のゴジラを見て私は学んだ。みんなに好かれたら、あとは媚びを売るしかなくなる。同情しながらも、ゴジラはいい反面教師だった。平成の時代に入ってから、再びゴジラは怖い表情を取り戻し、少しずつ人間に対峙していく。1954年の登場から62年を経て、ようやく「シン・ゴジラ」で元の姿に戻ったようだ。原爆や核の存在が、地球の味方であるはずがない。ゴジラは正義ではない。いつまでも、私たちに恐怖を忘れさせない教訓であり続けるべきだ。あの映画でザ・ピーナッツが歌っていた「幸せを呼ぼう」に、♪幸せよ、なぜ泣くの♪という一節がある。平和が破壊される悲しみを巧みに表現していると、今さらながら思う私ではあった。

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