岩崎宏美の 「センチメンタル」で、あの時何を思ったか。 | 宮脇 流の「昭和を話そう」 ( BOSSのブログ)

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70年代や、あの時代に輝いていたアレやコレや。
クリエイティブディレクターが語る、「思い出のエッセイ」です。

センチメンタル

歌手になりたい頃があった。歌謡曲全盛の時代。話題の曲はいち早く聴いたし、歌番組もさんざん観ていた。もちろん、日テレの「スター誕生」を見逃すはずもない。昌子、淳子、百恵の花の中3トリオもすでに高校 2年になっていた1975年だった、岩崎宏美という歌手が誕生したのは。デビュー曲は「二重唱」と書いて「デュエット」。特に華があるということはなかったけれど、歌はうまかった。2曲目の「ロマンス」もヒットした後、写真のレコジャケ「センチメンタル」へとリリースは続く。どうしてだろうか ? その 3つの曲を聴いて、私は初めて歌や歌手よりも、タイトルの方に惹かれていったのである。もっと言えば、「デュエット」、「ロマンス」、「センチメンタル」と続いたシリーズの横文字に心が震えた。華があるとは思えない少女の印象を、この 3つの横文字のタイトルが得たいの知れない存在感に変えていく・・。それは単なる作詞家の仕業ではなく、「阿久悠」という戦略家の仕業なのだ。♪ブルーの服をバラ色に変えてみたの そんな気分よ 17歳 ♪と歌う岩崎宏美は、その時から 花のトリオとはまた別のスターの階段を駆け上がっていった。そして私も、歌手ではなく、業界の裏方に惹かれていったのだろう。売るためには、コンセプトを創ること・・。その時、阿久悠が教えてくれたその仕業をいつか真似したいと。

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