
その名前を初めて聞いた時、なんとヘンテコな名前かと首をかしげた。Char(チャー)という名前を、あまりカッコよく感じなかったのは私だけだろうか。エバとかシェリーとか、女性タレントには当時からそんな芸名があったけれど、ソロの男の、それもロックシンガーにその名前は似合わない。それが、Charに対する私の先入観だった。写真のレコジャケは1978年の「闘牛士」。前年にリリースした「気絶するほど悩ましい」のヒットで、その人気は女性を中心にグングン上昇していた頃だ。本名、竹中尚人(たけなかひさと)。「ひちゃと」と呼ばれていた子供時代の愛称が、ひちゃーと→ ちゃーと→ チャー、に変化したという説が有望だけれど、私は別の説を密かに抱いている。もともと家は東京品川区の戸越(とごし)で、その商店街にCharの実家(お店)がある。実家の稼業は、お茶屋さんなのだ。カンのいい人はもう気づいただろう。Char(チャー)という名前は、お茶から来たのかもしれない。あの頃、世良公則(ツイスト)、原田真二と並んでロック御三家とまで言われたCharの名前の由来が、お茶かもと気づいていたら、もっと親しみを込めた視線を送っていたのになあ・・。偉大なギタリストに向かって、気絶するほどくだらない、そんな思い出話なのである。
