
「狩人」という名のデュオをTVで初めて観たのは、1977年の春まだ浅い頃だった。男同士でハモる歌手なんて、キモくて初めは歯牙にもかけなかったのだけれど、街に流れる「あずさ2号」を何度も耳にするうちに、なぜかはまっていったのを憶えている。世の中はピンクレディ旋風が吹き荒れた年。そのモーレツなピンクの熱風の中で、淡々とクールに歌い上げる二人の歌唱力が、どこかヒンヤリと心地よかったのかもしれない。写真のレコジャケは、その年の8月に出たセカンドシングル「コスモス街道」である。この曲を聴くと、いつも夏の終わりを思い出す。それは、私が初めて車で北海道を走った季節と重なっているからだけれど、コスモスという秋の花に、余計に夏の名残り惜しさを感じてしまったのだろう。♪コスモスの花は今でも咲いていますか ? あの日の二人をまだあなたは覚えてますか ?・・ ♪ そう言えば、まだ車にクーラーなんて付いてなかったあの8月の北海道で、車内に流れた「コスモス街道」だけが涼しさを感じさせてくれたような気がする。それがたとえ幻想であったとしても、私にとってこの曲は、宿題がまだ残っている夏休みの終わりのような、そんな懐かしい風景なのだ。
