
この時季、子供の頃はテレビでお化け映画をよく観た。「四谷怪談」に「番町皿屋敷」、「ろくろ首」なんかも観たような気がする。夏のお化けは、楽しみのひとつでもあり、同時に怖くもあった。いつからだろう、あまり放送しなくなったのは。日本のお化けは怖すぎたけれど、こんな「お化け」なら怖くない。写真のレコジャケは、郷ひろみと樹木希林のデュエットで1977年夏の「お化けのロック」。A面である「帰郷」のカップリング曲のはずが、ドラマ水曜劇場「ムー」の中で大々的に披露されたものだから、大ヒット! お化けのキャラクターを歌謡曲に登場させたのは、もしかするとこれが最初で最後かもしれない。当時 私が驚いたのは、キャラクターよりもその歌詞の方だ。♪オイラに何ができる取り憑く他に・・イヒッヒ ヒーヒヒ イヒ イヒ・・♪この「イヒ」、というカタカナを漢字で読むと化けるという字。つまり、イヒ、イヒという笑い声に「お化け」を重ねたのだろう。このアイディア、このセンスに脱帽。阿木燿子という作詞家はこういうとぼけたことも出来たのである。♪オット、足を踏むのは誰だ もっとも はなから足などなかったよ ヘイ! お化けのロックンロール♪ 人それぞれ、心の中の思い出をひもとく、そんなお盆である。
