
ご無沙汰しているうちに季節はどっぷり梅雨へ。湿気まじりの空気を吹き飛ばすような、明るい曲を探していたら、こんな一枚に出会った。写真のレコジャケは、1978年高田みづえの「花しぐれ」。一般的には、デビュー曲の「硝子坂」がメジャーだけれど、私は4枚目のこの曲が好きなのだ。高田みづえは、フジテレビ系の「君こそスターだ!」の出身。同じ番組出身の林寛子や石川ひとみがアイドル性で選ばれたのに対して、完全に歌唱力で勝ち抜いた歌手だった。後のスーパースター山口百恵さえ「スター誕生」に出た頃の歌唱力はイマイチだったのだから、TVのオーディション番組から出た歌手の中で、高田みづえの歌の上手さは群を抜いていた。けれどそれだけに、アイドルにはなれない。歌の上手さも、そのあどけなさがネックにもなっていた。そんな中で、「花しぐれ」は新境地を拓いた。♪雨の街に呼び出されて傘も持たずに飛んで来た 私髪を切りすぎたの、まるで男の子みたいよ♪ 当時ノリに乗っていた作詞家 松本隆の言葉が光る。男の子みたいな印象、どこか報われない女の子、悲し気なアイドル。そんな風情を私は高田みづえに感じていた。♪五月雨、春雨、長雨、 雨にもいろいろあるけど、涙は拭くわ♪ この季節、そんな少女を想うのも、いいかもしれない。
