
「ダウンタウン」と言えば、今ならもちろん漫才の王者をすぐに思うけれど、70年代はこっちがダウンタウンだった。正式には、ダウン・タウン・ブギウギ・バンドである。1974年に「スモーキンブギ」のヒットで注目されたと思うと、翌年「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」が大ヒット。作詞の阿木燿子とともに一躍スターの座についた。写真のレコジャケは、ちょうどその頃のアルバムで、タイトルも当時の心中そのままに「続 脱・どん底」という。私ごとで恐縮ではあるけれど、学園祭で一度ダウン・タウンの前座に出たことがある。前座を務めたのは私たちのバンドともう一人、それが所ジョージだった。当時はまだ、ダウン・タウンのボーヤ(バンドマン)をやっていた頃だと思うけれど、矢沢永吉そっくりのリーゼントで、ホントにカッコよかった。前座の楽屋が一緒で緊張していたら、優しい声で話しかけてくれたのをよく憶えている。本番では、E.YAZAWA風のタオルを首に巻き付け、ギターを抱えて颯爽と登場し、コミックソングを歌う。その頃から所ジョージはウケていた。ダウン・タウンが、メインで「裏切り者の旅」を歌っていた頃だから、76年頃だろうか。ツナギ姿にグラサンでキメキメの宇崎竜童には悪いけれど、このアルバムを見ると、所ジョージの方をつい思い出してしまう私、まさしく裏切り者の旅なのだ。
