
1975年と言えば、佐藤栄作元総理が死去した年。ノーベル平和賞受賞者を亡くしたせいか、ヒット曲も「シクラメンのかほり」、「昭和枯れすすき」、「想い出まくら」、「心のこり」・・と、なぜか暗かった。そんな退廃ムードをぶち壊すかのように登場したのが、写真のマンガ「嗚呼、花の応援団」なのである。大阪の豪快な応援団員の日々を描いていると書けば、もっともらしいけれど、そんなもんじゃない。無敵の主役、青田赤道は後ろ向きな日本を「ちゃんわちょんわ」と一喝し、素っ裸にした。翌76年にはレコード化と映画化。「役者やのお」のセリフで、無名のなぎら健壱も一躍人気者になった。ブームは、関西にとどまらず全国へと。当時関西に住んでいた私は、大阪を舞台にしたマンガが全国区に躍り出るということが嬉しかった。と、同時に地方の方言や文化が表舞台に立つという意味でも、このマンガの存在は大きかっただろう。マンガにしろ、映画にしろ、地方発のメッセージが日本を揺らすということが、もっとたくさんあっていい。青田赤道のように、地方まるだしの凄みと強さが、今必要なのではないか。こんなにも滅茶苦茶でお下劣なマンガを読んで、こんなことを思う私もまた、ちょっと変人ではあるけれど・・。
