
♪波をちゃぷちゃぷ ちゃぷちゃぷ かきわけて (ちゃぷちゃぷちゃぷ) 雲をすいすいすいすい追い抜いて (すいすいすい) ♪ この「ひょっこりひょうたん島」の主題歌を歌う時、誰もが括弧内の(ちゃぷちゃぷちゃぷ)という合いの手を感情込めて歌いたがる。私もそうである。それはともかく、この人形劇こそ、私が初めて目にしたミュージカルだった。もちろん、あの頃はミュージカルを観ていたなんて思わなかったけれど、ストーリーとは別に展開される歌の意味を、子供ながらに感覚で理解しようとしていたのだろう。ライオンがしゃべり、殺し屋のようなガンマンがいて、魔女が登場したかと思うと、海賊まで歌い出す。1964年から5年間、NHKが放送したこの人形劇の人気のヒミツは、子供の世界がキチンとあったというところかもしれない。子供の目で大人を見ると、大統領もライオンも海賊も殺し屋もそんなに違いはなかったはずだ。丁度「ひょっこりひょうたん島」が終了した70年頃から、時代は科学と経済の隆盛期。大人の世界観だけが、社会を支配し始めたような気がする。口先だけの大人たちは、ひょうたん島にもいた。今の政治家にもたくさんいるけれど、子供達の視線でもう一度、大事な世界を見つめられたらいいなと思う。
