
昭和のスターと言うと、その名は数々上がるだろうけれど、私はこの人。写真の通りバーボンが似合う俳優、松田優作である。1989年(平成元年)の40歳という早過ぎる死は、ファンならずとも誰もが絶句した。映画「ブラックレイン」の演技を世界が認めた時だっただけに、残念でならなかった。そういう意味で、松田優作は最後の昭和を駆け抜けた役者なのだ。73年、TVドラマ「太陽にほえろ」のジーパン刑事で登場、77年「人間の証明」や79年「蘇る金狼」、80年「野獣死すべし」、さらに83年「家族ゲーム」等の怪演で、多くのファンを魅了したのは言うまでもない。ただ、私がいちばん好きだったのは、76年の「ひとごろし」という映画だった。気の弱い、それでいてこずるい侍役は、その時代の悲壮感をしっかり伝える演技で、たまらなく面白かった。没後23年、63歳になった松田優作を空想の中で時々見る。相変わらず、無愛想で高飛車な物言い。だけど、鋭い眼差しはずっと変わらない。そうして今も、私の中で松田優作は生き続けている。ちょっと髪が白くなってはいるけれど・・。
