
1972年、大島渚の「夏の妹」という映画に大抜擢。翌73年「放課後」「ときめき」と、たて続けに映画出演し、栗田ひろみの人気は爆発した。写真のレコジャケは、丁度その頃にリリースされた一曲なのだ。どこにでもいそうな少女なのに、何を考えているのかわからない・・そんな危なげな10代の香りを栗田ひろみは持っていた。いや、振り返ってみると、あの頃の少女タレントはみんな同質の香りを持っていたような気がする。映画「恋は緑の風の中」の原田美枝子や「青春の門」の大竹しのぶ、「阿寒に果つ」の五十嵐じゅん、「愛と誠」の早乙女愛さえも、アンニュイそうでどこか危うい、そしてしたたかな女性を演じていた。可愛いだけのアイドルに飽きてきた男たちが、新しいタイプの女性を求めた結果、自然とそんなアイドルが誕生したのかもしれない。今で言えば、不思議キャラ。♪オレンジさっくり噛んだとき 風が小さなクシャミした・・♪という「太陽のくちづけ」の歌詞に中にも、不思議な感じは充満している。歌手として栗田ひろみがあまり売れなかった理由はわからないけれど、音程さえも危うかったからだろうか・・。それでも、私は買っていた。
