
梅雨が明けるまでのしばらくの間、またまた懐かしのマンガシリーズといこう。今回は「ホーホッホ」でお馴染みの「笑ウせぇるすまん」と言いたいけれど、写真の一冊はタイトルがちょっと違う。1968年に掲載された頃は、「黒ィせぇるすまん」だったのだ。変わったのは、アニメ化された89年から。喪黒福造という名前と邪悪な内容から「黒ィせぇるすまん」はピッタリだったけれど、今思うと「笑ウ」と変えた作戦もよかった。どこか痛快に笑い飛ばした方が、深みも増してくるというものだ。藤子不二雄は、時々こんなブラックな作品を手がけた。「黒べえ」や「夢魔子」、さらには「ひっとらあ伯父さん」など、かなり恐ろしい内容のマンガもあった。「オバQ」や「パーマン」との違いに驚き、子供心になんというジキル&ハイドなマンガ家かとふるえたほど・・。作品によって藤子AとFが描き分けていたことを知って、どこかほっとしたけれど、それでもやっぱりマンガ家は多重人格的でないと描けないと思う。そうでないと、のび太とジャイアンの二面性は描けない。ましてや、スネ夫の複雑な性格なんて、描けるはずもないだろう。
