三億円犯人を美しく儚く描いた、「悪魔のようなあいつ」。 | 宮脇 流の「昭和を話そう」 ( BOSSのブログ)

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70年代や、あの時代に輝いていたアレやコレや。
クリエイティブディレクターが語る、「思い出のエッセイ」です。

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「昭和マンガ」の第3弾は、阿久悠原作の「悪魔のようなあいつ」。1975年、「ヤングレディ」に連載されたややマイナーなマンガだけれど、基になるテーマが1968年に起きた"三億円事件"だっただけに、衆目を集めた。作画を上村一夫が手掛けたこともあって、そのなまめかしいまでに美しいタッチは、さすが女性誌マンガだけのことはある。話題に伴い同年TBS系列でTV化され、主役の美男「可門 良」を沢田研二が演じた。この時点で、世の女性たちはもう興奮。「悪魔のようなあいつ」は美しいジュリーの容姿がいかんなく披露される作品になった。ドラマの主題歌である写真のレコジャケ「時の過ぎゆくままに」は大ヒットし、オリコンチャート1位に。何をしても絵になったジュリーは、三億円犯人になっても絵になったから不思議だ。マンガの原作に話を戻すと、犯人の可門良には障害者の妹がいて、その車椅子に三億円を隠しているという設定。車椅子を押す看護師(女性)がそのことを知っているのか、知らないのか・・そんな展開が物語を深くしていた。ちなみに、ドラマではその看護師を篠ひろ子が妖艶に演じた。阿久悠も上村一夫も他界し、三億円事件も風化してしまった今、マンガだけがあの頃を色濃く物語っている。

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