
1972年、ワイルドな17歳のキャッチフレーズでデビュー。写真のレコジャケは、セカンドシングル「恋の約束」だけど、あまり売れなかった。秀樹が爆発したのは、73年の「情熱の嵐」の頃からだろうか? 74年の「薔薇の鎖」でスタンドマイクを回すアクションが話題になり、「傷だらけのローラ」でその地位は不動に。これまでのアイドルにはない、華麗でセクシーなパフォーマンスはアイドルというより、「ワイドル」とでも呼びたかった。もう一つ、秀樹の残した大きな足跡が不良のヒーロー像だ。74年に松竹系で公開された「愛と誠」は、ワイルドを超えたもはや悪の世界だったけれど、西城秀樹が演じる太賀 誠は、どこかナイーヴで華麗な世界観を創りだしていた。高校生不良ヒーローという世界は、その後75年に星正人の「男組」、76年舘ひろしの「男組2」と「暴力教室」、85年仲村トオルの「ビーバップハイスクール」、87年江口洋介の「湘南爆走族」、そして今小栗旬の「クローズZERO」へと歴史を継承していく。ただのワルではなく、矛盾した正義感にも似たナイーヴさは、西城秀樹の魅せた「愛と誠」からではないかと、私は睨んでいる。「愛は平和ではない 愛は戦いである 武器の代わりが誠実(まこと)であるだけで、それは地上における最も激しい厳しい 自らを捨ててかからねばならない戦いである」。このナレーションに触発され、秀樹演じる「太賀 誠」になりきったのは、きっと私だけではないだろう。
