
写真のヒーローは、ロボット刑事。石森章太郎の作品では、比較的マイナーな中に入るのかもしれない。石森作品に一貫しているのは、ロボット(アンドロイド系)の悲哀だ。それは、名作「サイボーグ009」に始まり、「仮面ライダー」「キカイダー」「イナズマン」等、科学の進化とともに、色合いも濃くなっていく。その意味で、1973年少年マガジンに掲載されたこの作品は、完成度が高い。TVの実写版(特撮)の方はあまり観ていないけれど、マンガは秀逸だった。一話完結ものではなく、非情な組織「RRKK」との長い葛藤の末の闘いが描かれている。「RRKK」とは、ロボットレンタル株式会社の略。その発想だけでもすでに面白いけれど、初老の刑事(TVでは高品格が演じた)と寝食をともにし、人間としての心を求めながらも、結局ロボットとしての使命が優先する。石森章太郎得意のヒューマニズムがストーリーを深くしている。1987年のアメリカ映画で大ヒットした「ロボコップ」は、まさしくロボット刑事のバクリだ。興行収入5300万ドルの何%かは、石森プロに行くべきだろう。♪叫ぶサイレン、ライトはまわる 事件だジョーカー、空飛ぶパトカー♪ のTV主題歌の方が、45歳以下のファンには懐かしいかもしれない。
