どうもガサガサする。と思って見てみると、棘が生えていた。それも、一本二本ではなくびっしりと。
裏返してみる。こちらもびっしりと生えている。しかも、両面ともに血でどす黒くなっている。ここまできているのに気付かないとは。相当鈍くなっている証拠だ。
今更取り返しはつかないが、いつからなのか思い返してみる。常に出ていたのならもっと痛みがあるはずだし、外側からの反発もあったはずだ。とはいえ、出たり引っ込んだりするものでもないはず…もしかして、鈍いなんてもんじゃなくなっているのではないか?そう思い当たってゾッとする。人としてあるべきところを通り越してしまったのではないか。禍々しい存在に成り果ててしまったのではないか。
裏側の棘は、私の内側に刺さる。表側の棘が向こうに刺されば、その反動で裏側の棘が私に刺さり、痛みでその存在に気付く。これまでは、その痛みを感じると駆除してきたのだ。これまでは。
慌てて引き抜こうとしたが、あまりに隙間なく生えているためうまく指がかからない。いたずらに指先が傷付くばかりだ。私の手はみるみる赤く染まっていく。棘はすでに真っ黒なため、赤い色は見えない。ただ粘着質のある液体で濡れているのがわかるだけである。
どうにかしなければ。気ばかりが焦る。凶にはなりたくない。気付いたのだから、まだ間に合うはずだ。間に合ってくれ。私に繋がる無数の糸たちが絶ちきれる前に。
裏返してみる。こちらもびっしりと生えている。しかも、両面ともに血でどす黒くなっている。ここまできているのに気付かないとは。相当鈍くなっている証拠だ。
今更取り返しはつかないが、いつからなのか思い返してみる。常に出ていたのならもっと痛みがあるはずだし、外側からの反発もあったはずだ。とはいえ、出たり引っ込んだりするものでもないはず…もしかして、鈍いなんてもんじゃなくなっているのではないか?そう思い当たってゾッとする。人としてあるべきところを通り越してしまったのではないか。禍々しい存在に成り果ててしまったのではないか。
裏側の棘は、私の内側に刺さる。表側の棘が向こうに刺されば、その反動で裏側の棘が私に刺さり、痛みでその存在に気付く。これまでは、その痛みを感じると駆除してきたのだ。これまでは。
慌てて引き抜こうとしたが、あまりに隙間なく生えているためうまく指がかからない。いたずらに指先が傷付くばかりだ。私の手はみるみる赤く染まっていく。棘はすでに真っ黒なため、赤い色は見えない。ただ粘着質のある液体で濡れているのがわかるだけである。
どうにかしなければ。気ばかりが焦る。凶にはなりたくない。気付いたのだから、まだ間に合うはずだ。間に合ってくれ。私に繋がる無数の糸たちが絶ちきれる前に。