保養所にて | さとこのチカラ

保養所にて

3年ほど前に会社の保養所を利用した事があります。




その年の秋に連休になる日がありましたので、初めて家族5人泊まりがけで出かけました。

それまでは宿泊を伴うと、子供が小さいためベビーカーなどで大荷物になり断念をしていましたが、

上の2人が歩けるようになり1台だけになりましたので、やっと出かけられたという感じでした。

それでも宿泊で周りの人に迷惑をかけないようにと、伊豆にある、会社の保養所を選びました。

その保養所は社長の元別荘という事らしく、宿泊できるのは2組まで、しかも自炊です。

事前情報では当日は私達しか宿泊しない、という事でしたのでその分さらに気が楽でした。


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「あ~すごく久しぶりだよね~、、ちょっと心配だけどね」



当日、さとこ はこう言いながら荷物をまとめていました。

私は雨が降りそうな天気図をPCで見ながら、到着まで降らなければいいけどな、、などと

考えながらルートを確認しています。



「あ~、、伊豆方面がちょっと渋滞かも、、早川のところだよ」

「少し早めに出よう。ここを抜けるのに時間がかかる、、今から出れば夕方前に着けると思う」



早川というのは伊豆半島の根元にある交通の要所で、休日はどうしても車が集中してしまうため

渋滞が発生してしまうところなんです。

さとこ と子供と荷物を車に押し込んで、早々に家を出発しました。



「あ~やっぱり降り出したか、、」



東名高速を西に下って進んでいるとフロントガラスに、ポツポツと水滴が付き始めます。

進行方向の遠くの空には暗い雲が立ちこめていました。

厚木から小田原方面へ分岐する、小田原厚木道路を進み早川に近づくにつれ雨はさらに激しくなり

対向車のライトが目につくようになりました。

オレンジ色の注意点滅をする交通標識が「この先渋滞 追突注意」と表示しています。



「せっかくの旅行なのに天気悪くなっちゃったね、、」

「ん~、、予報では夜半には止むと表示されていたし明日は晴れだよ」



そんな会話をしながら熱海をすぎ、会社側から支給された簡単すぎる地図(手描き)にしたがい、

案内図のある道を山側に右折しました。午後6時、、周りは既に暗くなっています。



「この道でホントにいいの?」



急勾配の狭い道を登りながら、私もちょっと不安になってきました。

ただ引き返したくても道が狭すぎてUターンが出来ず、まっすぐ進むしかありませんでした。

外灯の無い真っ暗な山道。ザーっという、雨が木を叩き付ける音が更に不安をあおります。

高度が上がるにつれ山間部特有の霧も立ちこめてきました。



「ねえ、、あのさ、、木と木の間をぬって何かが付いてきてる、、」

「あまり良くない、、事故に注意して!」



それまでずっと助手席の窓から外を見ていた さとこ が急にこう切り出しました。

そんな事言われても、、ハンドルを握る手がベッタリしてきます。

ヤバイ、、でも進むしか、、そんな状況からしばらくすると遠くに外灯の光が見えてきました。



「あ、なんか案内板だ!」



それまでずっと暗い道を進んできましたので、やっと現在地が分かりそうな目標を見つけ

少し安心しながらその方向に進んで行きました。

ヘッドライトが案内板を少しずつ照らして行きます。

左右に忙しく動くワイパー越しに見えたもの、、




◯◯霊園案内





「そんな、、、」



私は照らされたものをガクゼンとしながら、ただただ見ていました。。





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続く



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