『NOPE ノープ』
Nope
2022年 アメリカ [131分]
監督:ジョーダン・ピール
製作:イアン・クーパー/ジョーダン・ピール
製作総指揮:ロバート・グラフ/ウィン・ローゼンフェルド
脚本:ジョーダン・ピール
撮影:ホイテ・バン・ホイテマ
美術:ルース・デ・ヨンク
衣装:アレックス・ボーベアード
編集:ニコラス・モンスール
音楽:マイケル・エイブルズ
視覚効果監修:ギョーム・ロシェロン
キャスト:ダニエル・カルーヤ/キキ・パーマー/ブランドン・ペレア/マイケル・ウィンコット/スティーブン・ユァン/キース・デヴィッド 他
[解説]
「ゲット・アウト」「アス」で高い評価を受けるジョーダン・ピールの長編監督第3作。広大な田舎町の空に突如現れた不気味な飛行物体をめぐり、謎の解明のため動画撮影を試みる兄妹がたどる運命を描いた。
田舎町で広大な敷地の牧場を経営し、生計を立てているヘイウッド家。ある日、長男OJが家業をサボって町に繰り出す妹エメラルドにうんざりしていたところ、突然空から異物が降り注いでくる。その謎の現象が止んだかと思うと、直前まで会話していた父親が息絶えていた。長男は、父親の不可解な死の直前に、雲に覆われた巨大な飛行物体のようなものを目撃したことを妹に明かす。兄妹はその飛行物体の存在を収めた動画を撮影すればネットでバズるはずだと、飛行物体の撮影に挑むが、そんな彼らに想像を絶する事態が待ち受けていた。
「ゲット・アウト」でもピール監督とタッグを組んだダニエル・カルーヤが兄OJ、「ハスラーズ」のキキ・パーマーが妹エメラルドを演じるほか、「ミナリ」のスティーブン・ユァンが共演。(eiga.com)
あの『ゲット・アウト』や『アス』のジョーダン・ピール監督作ってことで、興味津々で鑑賞しました。以前の作品に比べメッセージ性は少々薄れてはいるものの、怪異の設定と描写が一風変わった展開なので、なかなか惹きつけられますね。
主人公OJ(ダニエル・カルーヤ)と妹のエメラルド(キキ・パーマー)が、映画の現場に関わるタレント馬の調教師/マネージャーなので、ギョーカイのあれこれも垣間見れますが、アニマルタレントの扱いの難しさを象徴する昔の事故が示され、なおかつ本作の重要なテーマ、正体不明の生命体?の暴虐に挑む主人公群っていう感じになります。
中国系子役の成長したリッキー・“ジュープ”・パク(スティーブン・ユァン)の映画出演の残り滓としてウェスタンSFショウというイベントにしがみついています。忘れられないんでしょうねw
SFホラーと言っても科学的な説明はあまりなく、UFOに似た正体不明な怪物が引き起こす怪異が、冒頭のチンパンジー"ゴーディ"の暴走に準えられている訳です。
●登場人物
・OJ・ヘイウッド♂:気弱な牧場後継
・エメラルド・ヘイウッド♀:芸能活動中の妹
・エンジェル・トーレス♂:家電量販店員
・アントレス・ホルスト♂:フリー撮影監督
・リッキー・“ジュープ”・パク♂:中華系元俳優
・オーティス・ヘイウッド・シニア♂:映画用馬調教師(故)
OJとエメラルドは父親の急死で引き継いだ牧場と馬をなんとか維持しようとしますが侵入者の警戒のために監視カメラを増設します。そしてどうやら何者かの気配がありおかしなものの気配や電力の喪失現象を体験します。
そこに絡むのは"映像クリエーターあるある"ってことで、そこそこ人気の子役が成長したリッキー・“ジュープ”・パクが郊外の私設遊園地近くで怪しげな降霊術?みたいな演し物をやっている、という舞台になります。
その流れでと星空のロマンというちょっと寒そうなアナウンスの直後正体を現す巨大な凶暴生体"UFO"、、、これは何だ?
で、劇中政府が在来のUFOの呼び名をUAP(未確認空中現象)に代えたというセリフにこの映画の解釈で「宇宙人の乗り物」から飛躍し、それ自体が意志を持った獰猛なハンターという落とし所になったんだと思いました。
それだけに不気味な得体の知れないUFO型の生き物なので最初から小出しにしていてはっきり見せない、いつものフェイントがいくつか織り込まれる訳ですが、佳境に入ってくると和紙の切り紙細工か烏賊の刺身のようなクールな全体像がついに現れます。
こんな奴もいるかもってことですかね。