『T-34 レジェンド・オブ・ウォー

T-34

 

2018年 ロシア [113分]
監督:アレクセイ・シドロフ

製作:ニキータ・ミハルコフ/ルーベン・ディシュディシュヤン/アントン・ズラトポルスキー

脚本:アレクセイ・シドロフ

撮影:ミハイル・ミラシン

衣装:ウリヤーナ・ポリャンスカヤ

キャスト:アレクサンドル・ペトロフ/イリーナ・ストラシェンバウム/ビツェンツ・キーファー/ビクトル・ドブロヌラボフ/アントン・ボグダノフ/ユーリイ・ボリソフ 他

 

[解説]

第2次世界大戦時、ナチスの捕虜になったソ連兵が、たった4人の味方と一台の戦車で敵の軍勢に立ち向かう姿を描いたロシア製戦争アクション。「太陽に灼かれて」の名匠ニキータ・ミハルコフが製作を務め、撮影にはT-34の本物の機体を使用した。第2次世界大戦下、ソ連の新米士官イヴシュキンは初めて出た前線の戦いで敗れ、ナチス・ドイツ軍の捕虜となってしまう。イヴシュキンが戦車の指揮をしていたことを知った敵軍は、収容所で行われているナチスの戦車戦演習のため、ソ連軍の戦車T-34の操縦をイヴシュキンに命じる。しかし、与えられたT-34は実弾を装備せず、演習では敵の砲火から逃げ惑うことしかできない。確実に死が待ち受ける演習を前に、T-34の整備を命じられたイヴシュキンは、仲間とともに無謀な脱出計画を立て、実行に移す。(eiga.com)

 

 

ロシア製の戦争映画の新作が作られる度に、頭を過るのは「何に対するプロパガンダ?」と言った感想になることが多いのですが、そこまでゴリ押し的愛国/国威発揚とかでもなくて、大いにバトルアクションエンタメ的な仕上がりでした。

 

このジャンルは嫌いじゃないので以前観ていたT-34映画数本ありました。長期間にわたり生産され、各衛星国等へも採用されているため、実車は結構存在しますが、そのバリエーションは様々なようです。本作でも初期型の大型ハッチの型から、彼らがナチス鹵獲車体を整備させられ、パンター戦車の実弾演習に晒されるのが、1944年の後期型という台詞があります。

 

その辺りの実車の考証、ナチスの4号戦車5号戦車(パンター)や、蚊のような軽量偵察機フィゼラー シュトルヒもかなり忠実に再現されていますし、4号戦車の冬季迷彩やパンター戦車のセメントコーティングの詳細と迷彩模様など、ミリタリーファンにはきっと嬉しい作品だと思います。砲弾発射のスローCGは、演出スタイルになってますが好き嫌いが出るかな?

潜水艦映画と同じく外の様子がわからない狭い閉鎖空間での弾着ショックなどの激しさは伝わって来ます。

 

ニコライ・イヴシュキン中尉率いる戦車クルーの汗臭い漢映画ですが、ナチスに飼い殺しになっていたシスターのアーニャ・ヤルツェヴァが紅一点となって同行し、程よく恋愛要素となってます。漢どもの水浴くらいがちょっと爽やかなシーンで(漢どもだけですが)、その後のパンター部隊の宿敵イェーガーとの決戦の緊迫感の中休みになっています。

 

イェーガーとの最後の死闘が片付き、夜明けに約束したアーニャとの再会シーンは、アンドリュー・ワイエスの名画"クリスチーナの世界"を彷彿とさせる、美しいシーンです。

 

たっぷり予算と時間を掛け、テンポもいいので長すぎる感じもせずに、思い切り楽しめるバトルアクション映画と言えますね。