Wordや PowerPointで作成した文書ファイルを、別の PCで開くとフォントが変わってしまい、時にはレイアウトも崩れてしまった‥‥このような経験はありませんか?
あるいは、作成した文書を OneDrive上に格納して表示させたらフォントが変わってしまった、ということもあります。
これらの現象は、お使いの PC環境で利用できるフォントが、オフィスアプリや OSのバージョンによって異なるために起きます。
つまり、文書を作成した環境で使えるフォントが、表示する環境で使えないと“代替フォント”に置き換えられるためにこのようなことが起きます。
ここでは Wordアプリで作成した文書ファイルを例にお話していきますが、PowerPointでも同様です。
(1) 別の PCで表示する
下図は、Windows 11、Word for Microsoft 365で作成した例題文書です。
上段は、既定のフォント「游明朝」10.5 pt で書き、下段は「AR P勘亭流H」フォント 20 pt で書いたものです。
この文書を保存し、別の PCで開いてみます。
その PCは、Windows 11、Word 2021 という環境です。
最初は、下図のように「読み取り専用」モードで開くかもしれません。
リボンの下に「読み取り専用 この文書を変更するには、印刷またはプレビューのみが許可されているフォントを削除してください。」というメッセージが表示されています。
この文書においては、上段の「游明朝」フォントは表示先 PCにインストールされているので問題なく表示されますが、下段で使用されている「AR P勘亭流H」フォントが表示先 PCにインストールされていないので、このメッセージが表示されました。
そのメッセージの右隣にある「制限されたフォントの削除」ボタンを押すと、下段が代替フォントに置き換えられて表示されます。(下図)
下段は、メニューのフォント表示は「AR P勘亭流H」ですが、見た目は異なります。
上記もしましたが、作成元 PCの Wordのフォントリストには「AR P勘亭流H」フォントがあります(下図)が、表示先 PCの Wordでフォントリストを開いても当該フォントはありません。
表示したくても表示先 PCに当該フォントがインストールされていないので、代替フォント(通常は既定フォント)に置き換えられて表示されます。
フォントによって、文字の幅、行間などが変わりますので、レイアウトも崩れてしまうことがあります。
これを回避する方法があります。
Word文書に、使用するフォントを埋め込む機能があり、これを利用することで表示先 PCでもそのフォントで表示できます。
作成元 PCの Wordでその文書ファイルを開き、[ファイル]-[オプション]-[保存]を開きます。(下図)
「次の文書を共有するときに再現性を保つ」項で「ファイルにフォントを埋め込む」にチェックを入れます。
(PowerPointでは「このプレゼンテーションを共有するときに忠実性を維持する」項で行ないます。)
既定では、この項にはチェックが入っていませんので、フォントを埋め込んでいないということになります。
この文書ファイルのサイズを比較してみます。
既定の状態、つまり「ファイルにフォントを埋め込む」にチェックが入っていない状態では 15.2 KB でした。
一方、上図のように「ファイルにフォントを埋め込む」にチェックを入れ、その下の「標準システムフォントは埋め込まない」だけにチェックを入れた状態では 217 KB でした。
なお、「標準システムフォントは埋め込まない」のチェックを外したときは 1.99 MB となり、「文書で使用されている文字だけを埋め込む(ファイルサイズを縮小する場合)」だけにチェックを入れた場合では 217 KB でした。
実用上は、上図のように、「ファイルにフォントを埋め込む」にチェックを入れ、「標準システムフォントは埋め込まない」にチェックを入れ、「文書で使用されている文字だけを埋め込む(ファイルサイズを縮小する場合)」のチェックは外すとよいでしょう。
特に、「文書で使用されている文字だけを埋め込む(ファイルサイズを縮小する場合)」にチェックを入れると、ファイルサイズは小さくできますが、入力されている文字の分だけフォントが埋め込まれるので、その後、文章を修正したり書き足したりするときに代替フォントが適用されます。
(2) OneDriveに保存する
作成元 PCの Wordで作った文書ファイルを、OneDrive上にアップロードします。
その文書を開いてみると。下図のように表示されます。
下段の段落を選択し、フォント名を確認すると「Arphic PKanteiryuu Heavy JIS」と表記されています。
そして、その左側にはオレンジ色の三角マークが付いており、マウスを当てると「不足フォント」と表示されます。
これは上段についても同様で、「游明朝(本文)」フォントと表示され、その左側にオレンジ色の三角マークが表示されます。
フォントリストを開くと、利用可能なフォントが一覧表示されます。(下図)
]Microsoft 365では、フォントリストに表示されるフォント名の右端に雲マークが表示されるものがあります。
「クラウドフォント」と呼ばれ、使用する時は、クリックしてダウンロードし、フォントをキャッシュに保存します。
Microsoftのサポートページ「Officeのクラウドフォント」もご参照ください。
Webブラウザで表示しているために、デスクトップ版Wordよりも少ないフォントが有効です。
このように、OneDriveなどオンラインストレージに格納した文書のフォントは、その Webシステムで利用できるフォントに置き換えられることが多いです。