PCを使い始めると「圧縮ファイル」とか「アーカイブファイル」とか言う用語が出てきて、何のことか分からないまま大雑把な捉え方で受け流してしまいます。
多くの場合、それでも大きな問題にならないのでよいのですが、疑問に思ったらこの記事をご覧になり参考にしてみてください。

(1) アーカイブ(archive)

英語で「記録保管所」「保存記録」「保管する」という意味です。
IT用語としては、「データをまとめて保管場所に保管する」あるいは「その保管したファイル」という意味に使います。

ここで大事になるのが「まとめて」というところです。
つまり、複数のファイルやフォルダを 1つのファイルにまとめて保管します。
1つのファイルをアーカイブすることもできますが、通常、複数のファイルやフォルダをまとめることを指します。

いくつかのファイルやフォルダで構成されるソフトウェアや文書群などを配布したり保管するとき、1つ 1つのファイルを転送しているうちに転送忘れなどして不完全なものになりがちです。
これらのファイルを 1つのファイルにまとめて転送し、必要に応じて 1つ 1つのファイルにバラバラにしてあげれば、そのような心配も要りません。

(2) 圧縮(compress)

データの内容 (意味) を変えずに、そのサイズを小さくすることです。

いろいろなアルゴリズムがあります。
例えば、簡単な例を示すと、ファイルの中身に
  AAAAAAAAAA
というように「A」が 10文字連続して並んでいるときに、これを
  A10
と変換します。
こうすることで、10文字分のサイズが 3文字分に縮小されました。

この方法は FAXにおける圧縮技術に使われていますが、他にも他方面で使われています。

音楽データを MP3形式に変換するときも「圧縮」という表現をとりますが、その場合は「非可逆圧縮」であって、再生時に元のデータには戻りません。
通常、単に「圧縮」という場合「可逆圧縮」、つまり復元時に「元に戻すことができる圧縮」のことを指します。

そして、圧縮しようとするファイルは、1つでも複数でも構いません。

(3) アーカイブと圧縮が混同される

このように「アーカイブ」と「圧縮」は、本来は別のことを指す用語ですが、時としてこれらが混同されて使われます。

多くのアーカイブをするプログラム(アーカイバ)は、これらを同時にこなします。
つまり、アーカイブファイルを作るとき、ファイルサイズを小さくするため、同時に圧縮を行うのが一般的です。
名付けるなら「圧縮アーカイブ」でしょうか。

Windowsで広く使われる「ZIP」、日本で古くから使われてきた「LHA」、その他に高機能化した「RAR」「7z」などはみな「圧縮アーカイブ」です。

このように、「圧縮」と「アーカイブ」はワンセットで用いられ、「圧縮アーカイブ」として動作するので、「圧縮」と「アーカイブ」は混同されることが多いのです。

《圧縮形式の種類》

zip
Windowsの標準アーカイバなので広く使われています。
パスワード設定や分割圧縮も可能です。
圧縮率はあまり高くなく、4GBを越えるファイルや圧縮後に 2GBを越えるファイルは圧縮できません。

rar
欧州で普及しているファイル圧縮形式で、zipや lzhよりも圧縮率が高いです。
パスワード設定や分割圧縮も可能です。
圧縮ファイルの破損をある程度修復できます。

7z(7zip)
zipに比べ圧縮率が高く、高速で動作するオープンソースのアーカイバです。
文字体系の違うファイルを混在させることもできます。
16 EB(エクサバイト)= 160億 GBまでのファイルを圧縮できます。

lzh(LHA)
日本人が考案したアルゴリズムで、国内での普及率が高いです。
圧縮・解凍スピードが速い。
Windowsでは、解凍するだけならソフトが無くても利用できます。

エクスプローラで 1つまたは複数のファイルを選択し、メニュー「…」から「ZIPファイルに圧縮する」をクリックすると、圧縮アーカイブされ、拡張子が「.zip」のファイルにまとめられます。(下図)

 

同じく、ファイルを選択し、右クリックし「圧縮先」から「ZIPファイル」を選んでも同様になります。(下図)

 

こちらの方法では、「ZIPファイル」のほか、インストールされていれば「7zファイル」や「TARファイル」なども選択可能です。
「TAR」形式は、主に Linuxなどで利用されますが、圧縮機能はありません。

そのメニューの一番下「追加オプション」を選択すると、下図のダイアログが現れます。

 

圧縮レベルを変更したり、圧縮方法を選択してカスタマイズできます。

zipファイルを作ると、通常は複数あるファイルの最初のファイル名に拡張子が「.zip」に置き換えられた圧縮ファイルが同じフォルダ内に出来上がります。
なお、このファイル名はより分かりやすい名前に変更しても構いません。

また、この圧縮ファイルに他のファイルを追加でき、追加したいファイルをこの圧縮ファイルにドラッグすればよいです。
エクスプローラでは、左上にある「新規作成」から「圧縮(zip形式)フォルダー」を選択して空の圧縮フォルダーを作り、圧縮したいファイルを後からその圧縮フォルダーにドラッグして圧縮ファイルを作ることも出来ます。

圧縮アーカイブされたファイルを、元の 1つ 1つのファイルに復元することを「解凍」または「展開」と言います。
エクスプローラでは、圧縮ファイルを選択し、メニュー「…」から「すべて展開」を選択します。
あるいは、圧縮ファイルを右クリックして「すべて展開」を選択します。

単に、圧縮ファイルの中身を確認するだけなら、圧縮ファイルをダブルクリックすればよろしいです。
でも、この操作はファイルを展開したわけではないので、ファイルを削除できても、名前の変更などはできません。
その中の(一部の)ファイルを、デスクトップなどフォルダ外にドラッグ&ドロップして取り出すこともできます。
これは展開されたものなので、その後、名前の変更も編集なども自由にできます。