Excelで“平均”を求める関数は「AVERAGE」ですね。
でも、一口に平均と言っても、実は平均にもいろいろな平均があり、それぞれに関数が用意されています。
以下にそれぞれをアルファベット順にご紹介していきます。

(1) AVERAGE

(各項目名に張ったリンクは、それぞれの Microsoftのサポートページが開きます。)

AVERAGE関数の構文は、AVERAGE(数値1, [数値2], ...) であり、引数には「,」で区切った数値列またはセル範囲を指定します。

多くの場合、セル範囲が指定されますが、その中に含まれる文字列、論理値、空白セルは無視されます。
したがって、下図のよう表データのうち B5セルは空白となっているため、単価の平均値はこれを除いて計算されますが、D5セルは値 0 が入っているため、金額の平均値はこれを含めて計算されます。

 

(2) AVERAGEA

AVERAGEA関数の構文は、AVERAGEA(値1, [値2], ...) であり、引数には「,」で区切った数値列またはセル範囲を指定します。
引数には、数値、数値配列、数値を含む範囲を参照する名前かセル参照、数値を表す文字列、TRUE や FALSE などの論理値を指定できます。
TRUEは 1、FALSEは 0、空白文字列("")も含め文字列は 0 と見做されますが、空白セルは無視されます。
エラー値または数値に変換できない文字列はエラーになります。

下図の表データでは、B5セルは文字列であるため、これを 0 と見做して単価の平均値を計算しており、D5セルは #VALUE! エラーであるため、金額の平均もエラー値が返されています。(下図)

 

(3) AVERAGEIF

AVERAGEIF関数の構文は、AVERAGEIF(範囲, 検索条件, [平均範囲]) です。

基本的に「検索条件」に合致するセルの平均を求めます。
下図の表データでは、B5セルが空白となっており、B10セルには「=AVERAGEIF(B2:B8,">=200")」と入力されています。

 

つまり、セル範囲 B2~B8の中で 200以上であるセル(B2、B8セル)の平均を求めています。

第3引数「平均範囲」を指定すると、「範囲」の中で「検索条件」に合致するセルに対応する「平均範囲」の平均を求めます。
D10セルに「=AVERAGEIF(B2:B8,">=200",D2:D8)」と入力すると、200以上という条件に合致するセル(B2、B8セル)に対応する金額範囲のセル(D2、D8セル)の平均が求められます。

なお、AVERAGEIF関数の検索条件にはワイルドカード文字が使用できます。

(4) AVERAGEIFS

AVERAGEIFS関数の構文は、AVERAGEIFS(平均範囲, 条件範囲1, 条件1, [条件範囲2, 条件2], ...) です。
前出の AVERAGEIF関数の検索条件を複数設定できるようにした関数です。

下図の表データでは、B10セルに「=AVERAGEIFS(B2:B8,B2:B8,">=200",C2:C8,">=3")」と入力されています。

 

つまり、第2引数のセル範囲 B2~B8が 200以上であり、第4引数のセル範囲 C2~C8が 3以上である条件に合致するセルが 第1引数のセル範囲 B2~B8の中にあれば、それらの平均を返します。
この例では、B2、B8が合致するので、それらの平均値 225 が返されます。

また、D10セルには「=AVERAGEIFS(D2:D8,B2:B8,">=200",C2:C8,">=5")」と入力されています。
こちらは、セル範囲 B2~B8が 200以上であり、セル範囲 C2~C8が 5以上である条件に合致するセルが 第1引数のセル範囲 D2~D8の中にあれば、それらの平均を返します。
この例では、合致するものがないので #DIV/0! エラーが返されます。

なお、AVERAGEIFS関数でも条件にはワイルドカード文字が使用できます。

(5) DAVERAGE

“データベース関数”と呼ばれる関数群の中の 1つです。
DAVERAGE関数の構文は、DAVERAGE(データベース, フィールド, 検索条件) です。

下図において、B13セルには「=DAVERAGE(A1:D8,"単価",A10:D11)」と入力されています。

 

第1引数「データベース」はセル範囲 A1~D8が指定され、第2引数「フィールド」は平均を求める項目である「単価」が指定されています。
ここでは「フィールド」として「"単価"」としましたが、代わりに「B1」としてもよいです。
第3引数の「検索条件」には、セル範囲 A10~D11を指定しています。
データベース関数では、横並びとされた複数の条件は「AND条件」となり、縦方向に並べた条件は「OR条件」となります。
そのため、この例では、(単価 >=180 AND 数量 >=2) という条件で検索し、合致した単価セルの平均値が返されました。

この関数も、条件にはワイルドカード文字が使用できます。

(6) GEOMEAN

GEOMEAN関数は、指定した数値の相乗平均(幾何平均)を返します。
その構文は、GEOMEAN(数値1, [数値2], ...) です。

引数は 1~255個の数値を与えることができます。

相乗平均(幾何平均)は、与えられた数値をすべて掛け合わせ、その個数のべき乗根を返します。
例えば「=GEOMEAN(1,2,3,4)」は 1×2×3×4(=24)の 4乗根 2.213364 を返します。
別の関数で表わせば「=POWER(1*2*3*4,1/4)」と同じです。

相乗平均(幾何平均)の適用例はネット検索などしてご覧ください。

(7) HARMEAN

HARMEAN関数は、指定した数値の調和平均を返します。
その構文は、HARMEAN(数値1, [数値2], ...) です。

この関数も、引数は 1~255個の数値を与えることができます。
引数に文字列、論理値、空白セルが含まれている場合、これらは無視されます。
数値 0 が含まれていると #NUM! エラーとなります。

与えられた数値が正の実数であれば、それぞれの逆数の算術平均の逆数が調和平均です。(下図)

 

AVERAGE関数で求めたものが算術平均(相加平均)と呼ばれます。

調和平均は、平均時速を求めるときなどに使用されるそうです。

(8) TRIMMEAN

TRIMMEAN 関数は、データ全体の上限と下限から一定の割合のデータを切り落とし、残りの項の平均値を返します。
その構文は、TRIMMEAN(配列, 割合) で、第1引数「配列」のデータのうち、計算から除外する端数の割合を指定します。
例えば、「=TRIMMEAN(A1:A100,0.2)」は 100個のデータのうち上限および下限から 20%(それぞれ 10%ずつ) のデータを除外し、残った 80個の中間のデータについて平均を求めます。

実験データや調査データの中には、極端に大きい・小さい値が含まれることがあり、これらも含めて算術平均(相加平均)すると、平均値がそれらに引っ張られて“実態”からズレてしまいます。
そのため、上限および下限のデータを取り除いて平均を求めます。