Wi-Fi 6 (IEEE802.11ax)」記事で「Wi-Fi 6」の概要をご紹介しました。
Wi-Fiの世界も進歩が速く、それから 2、3年の間に次々と新しい規格が出てきています。

「Wi-Fi 6」(11ax)は第6世代と区分され、第5世代「Wi-Fi 5」(11ac)に続く規格です。
「Wi-Fi 6E」は「Wi-Fi 6」の拡張版という位置づけで、新たに「6GHz帯」が加わりました。

以下の表は、「Wi-Fi 5」から次世代の「Wi-Fi 7」までの規格の一部を拾い出したものです。

 

  Wi-Fi 5 Wi-Fi 6 Wi-Fi 6E Wi-Fi 7
リリース年 2013年 2019年 2022年 2024年
IEEE規格 802.11ac 802.11ax 802.11ax 802.11be
最大通信速度 3.5Gbps 9.6Gbps 9.6Gbps 46Gbps
周波数帯 5GHz 2.4/5GHz 2.4/5/6GHz 2.4/5/6GHz
チャンネル幅 20,40,80,
80+80,160MHz
20,40,80,
80+80,160MHz
20,40,80,
80+80,160MHz
最大320MHz


(1) 「Wi-Fi 6」と「Wi-Fi 6E」

Wi-Fi 6では 2.4GHz帯と 5GHz帯という周波数を使用していましたが、Wi-Fi 6Eでは 2.4GHz帯と 5GHz帯に加え、新たに 6GHz帯も利用できるようになりました。
これが一番大きな違いです。
ベースとなる規格はいずれも「IEEE802.11ax」ですが、さらに 6GHz帯に適用したということです。
「6E」の「E」は Extend(拡張)の Eです。

使える周波数帯が増えると、使える“道路”の本数が増えるということで、1つの道路が混んでいるときに迂回して空いている道路を選択できるということで、干渉を避けることができます。
結果的にスループットの向上が見込めるようになります。

その様子を図示してみると、その道路の本数がより増えたことがお分かりいただけると思います。(下図)


なお、図中の灰色部分の帯域は、規格上は対象となりますが、日本では利用できない周波数帯です。

上記の表で、最大通信速度はいずれも 9.6Gbps と同じですが、道路本数が約2倍になり、比較的に空いている道路が選択できるようになることで、干渉が少なくなり、実効速度は高まります。

(2) 「Wi-Fi 7」

Wi-Fi 7は、WiFi 6/6Eに次ぐ次世代の WiFi規格です。
まだ販売された機種は少なく、今後増えていくものと予想されます。

上記の表で、やはり目立つところは最大通信速度でしょう。
WiFi 6の 4.8倍という速度は大きな改善です。
この通信速度は、単に利用できるチャンネルを増やしただけでなく、空間ストリーム数、変調技術、複数リソースユニット利用などいろいろな技術を用いての結果です。

また、遅延時間(レイテンシー)が低いことも大きな改善点となっています。

さて、このように改善されてくる Wi-Fi環境ですが、Wi-Fiルーターだけ買い替えてもその恩恵は得られません。
対応する受信機器もこれらの規格に対応しないと高性能を得られません。
でも、いずれも下位互換性がありますので、従来の規格にしか対応しない受信機器でも通信することができます。