下図のような時系列データがあり、これを折れ線グラフで表示したものです。

 

ここには 1,300を超えるデータがあり、全体の傾向を俯瞰するにはこれでもよいのですが、ある区間に絞ってその変化を見たいときは、水平スクロールバーを用意してそれをスライドして見られるようにできると便利です。

1つ思いつくのが「Excel ピボットテーブルでタイムライン」記事でご紹介したピボットテーブルとして「タイムライン」機能を使えばできそうです。
試しに、このデータについてピボットテーブルのタイムラインを使ってみたもの下図です。

 

タイムラインのスライダで表示させたい区間を指定すると、それに対応して日付データにフィルタがかかり、グラフもその区間の日付に応じた範囲のものとなります。

でも、思い描いていたものと少し違いますので、別の方法を以下に試してみます。

まず、スクロールバーを使わずに表示区間の先頭を指定して表示するようにしてみます。
区間の長さは例えば 100 としておきます。

データの最初から 100個分を選択して折れ線グラフを作成します。(下図)

 

そして、データの先頭行を表わす数値「0」をグラフの右下あたりに記載しておきます。
ここで、この折れ線グラフの系列をクリックすると、数式バーには

  =SERIES(Sheet3!$B$1,Sheet3!$A$2:$A$101,Sheet3!$B$2:$B$101,1)

と表示されています。
「SERIES」関数の書式は以下のようになります:
  =SERIES(系列名, 軸ラベル, 系列値, 順序)

「系列名」は、表内の系列名をセル番地で指定しています。
「軸ラベル」は、グラフにするデータ、この場合は横軸の範囲をセル番地で指定しています。
「系列値」は、値が入力されているセルを系列値の引数として設定します。
「順序」は、グラフの中の系列の順番を表し、グラフの一番左にある系列から順番に 1・2…と番号を割り振っています。

ということは、グラフの右下に記載した I14セルの値を使って、上式の第2、第3引数を指定できれば、I14セルの値を変更することに対応してグラフの表示区間を替えることができそうです。

第2、第3引数を表わす数列を表わす名前を「OFFSET」関数を使って定義してみます。
「OFFSET」関数の書式は以下のようになります:
  =OFFSET(参照, 行数, 列数, [高さ], [幅])

[数式]-[定義された名前]-[名前の定義]をクリックし「新しい名前」ダイアログを出し、下図のようにセットします。

 

「名前」には任意ですが「日付範囲」とし、「範囲」はこのシート「Sheet3」を選択、「参照範囲」には次のように入力します:
  =OFFSET($A$2,$I$14,0,101,1)

同様に、第3引数に対応する「件数範囲」も定義します。
「参照範囲」には次のように入力します(下図):
  =OFFSET($B$2,$I$14,0,101,1)

 

「OFFSET」関数は、第1引数「参照」のセルから第2引数「行数」と第3引数「列数」だけ移動したセルを始点として第4引数「高さ」(行)と第5引数「幅」(列)のセル参照を返します。

これらを使って、上記系列の数式を書き直すと次のようになります:
  =SERIES(Sheet3!$B$1,Sheet3!日付範囲,Sheet3!件数範囲,1)

こうすることにより、I4セルの値を変更することで表示するデータ区間の先頭を変更することができます。

表示する区間によって縦軸の最大値が自動的に変更され、I4セルの値を替えるたびに縦軸のレンジが変ってしまいます。
これを固定レンジとするため、グラフの縦軸を右クリックし「軸の書式設定」をクリックします。
右側に現れたダイアログで、「境界値」の「最大値」を「件数」データの最大値が収まるように変更します。
これで、I4セルの値を変更しても、縦軸のレンジが変わることがなくなります。

最後に、I4セルの値を変更するのに水平スクロールバーを設置します。
[開発]タブ [コントロール]-[挿入]から「スクロールバー(フォームコントロール)」を選択します。(下図)

 

グラフの下あたりに横長に配置します。
このスクロールバーを選択し、同じ [コントロール]グループにある [プロパティ]をクリックします。
現れた「コントロールの書式設定」ダイアログの「コントロール」タブで下図のように設定し「OK」します。

 

「最大値」には、表データの一番下の列番号から表示区間のデータ数(この例では 101)を差し引いた数値を入力します。
「リンクするセル」には「$I$14」として、I14セルの値と連動するようにします。

I14セルは見えている必要はなくなったので、出来上がったスクロールバーで隠すように配置すればよろしいでしょう。(下図)

 

スクロールバーの中にあるスライダを動かしたり、スクロールバーの中をクリックすることで自由に表示区間を変更でき、それに対応してグラフも切り替わります。
上図では表示されていませんが、スクロールバーの左右端には左向き・右向きの矢印があり、これをクリックすると、上図のダイアログの「変化の増分」だけ区間が移動します。
また「スクロールバー シャフトの増分」は、スクロールバーの中をクリックしたときの変化量ですので、お好みにより設定してください。