DVD/BDにバックアップ」記事で、大切な写真・動画データは DVD-Rディスクなどにバックアップしておくとよいですよ、とお話しました。
他の記録デバイスに比べ、比較的に保存寿命が長いとされていますが、CD-R/DVD-R/BD-Rなど書き込み可能な光ディスクでもその保管方法によっては保存寿命を短くしてしまうことがあります。

今回は、それらの書き込み可能な光ディスクの保管方法についてお話します。

ノート型PCに内蔵される光ディスクドライブで CD-Rや DVD-Rに記録できるものが多いので、DVD-Rの保管方法を先に書きます。

記録可能な光ディスクは、「色素層」といわれる層にレーザー光を当てて化学変化を利用してデータを記録します。
この「色素層」(記録層)をはさんで「レーベル面」「保護層(カバー層)」があります。
「レーベル面」はジャケット画像を印刷できる面で、プリンタブルディスクとして販売されている光ディスクでは白色のものが多いですね。
「保護層」は文字通り「記録層」を保護するもので、レーザー光はここを通過して「記録層」に焦点を合わせて照射されます。(下図)

 

映画などのデータを記録して販売されている光ディスクは読み出しのみ可能で、「記録層」には成型された凹凸が並ぶ構造なので、経年劣化はほとんどありません。
しかし、「色素層」の化学変化により反射率の違いとして記録されたデータは、経年劣化が進みますので、読み取り寿命が短くなります。

加えて、「保護層」にキズや汚れができると、正確に「記録層」のデータを読み取ることが難しくなり、これも読み取り寿命を短くする原因となります。

それでは、記録済みの DVD-Rなどを正しい保管・保存方法とは何でしょう。

1. 保護層(カバー層)を綺麗に保つ

光ディスクを持つときは、その周辺とセンターホールだけに指をかけて持つようにします。
保護層にはできるだけ指紋などの汚れを付けないようします。
どうしても保護層とレーベル面を指で挟まないと取り出せないときは、最外周部をつまみます。
多くの場合、内周部分から記録されますので、最外周部は記録されていない領域が残ることがあります。

汚れや埃などが付着した場合、布やティッシュなどで拭きたくなりますが、メガネ拭きのようなやわらかい布を使いましょう。
そして、布を湿らせずに、光ディスクの中心から外側に向かって拭きます。
円周方向に拭くと、データの記録方向に沿ってキズを付けてしまうことがあり、データを読み込めなくなる可能性があります。(下図)

 

2. プラケースに入れる

プラケースに入れれば、センターホールだけで保持され、保護層に接触しないで保持できます。
多くの光ディスクを収納するときは、その厚さが薄いケースも販売されていますので、ご利用ください。

それでも、枚数が増えるとプラケースの厚みが気になります。
次善の策として、「トールケース」の利用も考えられます。
これは、「DVDホルダー」などとも呼ばれ、アルバムのような作りになっていて、各ページに光ディスクを収納していきます。
ただし、収納袋に使用されている不織布にご注意ください。
CD-R/DVD-R用とされるものは比較的織り目が粗い場合が多いです。
これに BD-Rなどを入れて収納すると、この織り目の凹凸が転写され再生に問題が起きる場合があります。

3. 立てた状態で保存する

プラケースに入れ、それを立てて保存するのが基本です。
横にした状態で長期間保存すると、重力によって光ディスクが歪んで、データの読み取りに影響する場合があります。

トールケースに入れた場合も、光ディスクが立つように保存してください。

4. 高温多湿・直射日光を避けて保存する

上述したように色素層の化学変化を利用して記録していますので、高温多湿や直射日光には弱い性質です。
直射日光が当たらず、高温多湿になる場所や温度変化が大きい場所は避けて保管しましょう。

次に BD-Rですが、最初の図でお分かりのように DVD-Rに比べて保護層が薄い構造になっています。
そのため、保護層(カバー層)にキズや汚れなどについては、DVD-Rよりもっと慎重に扱いましょう。
また、記録する波長もより短くなっていますので、圧力や重さにも弱く、歪みが生じると記録面が損傷し、データが読み込めなくなることがあります。

さて、以上のように注意点を書きましたが、記録可能な光ディスクは良いところもあり、上記のご注意を気にかけてご利用いただきたいと思います。
ザクっと言って DVD-Rでは 10年程度の寿命であるとお考え下さい。
その寿命が来る前に、データを別の光ディスクにバックアップしておくと良いでしょう。