Microsoft Officeアプリ(Word、Excel、PowerPoint)共通の話題ですが、文書上に挿入された複数の図や画像を扱うときに利用する「オブジェクトの選択と表示」機能についてまとめておきます。
これまでにも、「Word 画像の前面と背面」記事、「Excel 図形の作成(2)」記事、「PowerPoint 図を上手く選択できない」記事などで断片的に触れてきました。

(1) 「オブジェクトの選択と表示」ボタンはどこ?

この「オブジェクトの選択と表示」機能を開く「オブジェクトの選択と表示」ボタンの位置からお話します。

Word文書では、[レイアウト]-[配置]グループにあります。
文書上に挿入された図や図形などを選択したときは、[図の書式]や [図形の書式]など現れたタブで [配置]グループの中にあります。

Excelブックでは、[ページレイアウト]-[配置]グループにあります。
ワークシート上に挿入された図やグラフなどを選択したときは、それぞれに対応する [書式]タブで [配置]グループの中にあります。

PowerPointスライドでは、[ホーム]-[図形描画]-[配置]メニューの中にあります。
スライド上に挿入された図や図形などを選択したときは、[図の書式]や [図形の書式]など現れたタブで [配置]グループの中にあります。

「オブジェクトの選択と表示」ボタンをクリックすると、画面右側に「選択」ダイアログが現れます。(下図)

 

Word文書では、文書の 1ページ内に挿入された図や図形など(以下、オブジェクト)が一覧表示されます。
Excelブックでは、1つのワークシート内に挿入されたオブジェクトが一覧表示されます。
PowerPointスライドでは、1スライドページ内に挿入されたオブジェクトが一覧表示されます。

なお、ショートカットキー [Alt]+[F10] を押しても「選択」ダイアログを開いたり閉じたりできます。

(2) オブジェクトの順序を変更する

ところで、この「選択」ダイアログに表示されるオブジェクトの順番ですが、基本的には一番最後に挿入したオブジェクトが一覧の一番上に表示されています。
逆に言えば、そのページに最初に挿入したオブジェクトが一番下に表示されます。

ただし、この順番はこの「選択」ダイアログの中で変更することができます。
例えば、上図の最上位にある「テキスト ボックス 519」を選択し、ダイアログの右上にある「∨」をクリックすると、その順番が上から 2番めになります。(下図)

 

「∧」をクリックすると、その順番を上位に変更することができます。
また、選択したオブジェクトをマウスでドラッグしてもその順番を変えることができます。

なお、ダイアログに表示されるオブジェクトは、[Ctrl]キーを押しながらクリックすれば複数選択することができ、複数選択した状態でまとめて順番を変更することもできます。

また、Word文書では [文字の折り返し]オプションで [背面]にすると、このダイアログの一番下に移動され、再び [前面]にすると元の順番の位置に戻ります。
その他の [前面に移動] [最前面に移動] [背面に移動] [最背面に移動] というメニューは Word、Excel、PowerPoint いずれもこのダイアログ上で操作できます。

(3) オブジェクトを非表示にする

Adobe illustratorなどの画像編集ソフトでは、「レイヤー」という概念があります。
しかし、Officeアプリにはレイヤーの概念がありません。
いわば 1枚のレイヤーの上にテキストボックスや写真などすべてのオブジェクトが存在していて、単に配置した順番どおりに描画されているというだけです。
Officeアプリにはレイヤー機能がないので、もちろんロック機能もありません。
なので、すべてのオブジェクトが常に選択できてしまえる状態なのです。

これと類似する機能が「表示/非表示」です。
「選択」ダイアログに表示されるオブジェクトの右側にある“目”のアイコンをクリックすると、アイコンに斜線が付き、そのオブジェクトは非表示となります。
再びクリックすれば元のアイコンに戻りオブジェクトは表示されます。

別のオブジェクトの裏側に隠れているオブジェクトを編集したいとき、表側のオブジェクトを一時的に非表示とし、裏側のオブジェクトを編集終了後に改めて表側のオブジェクトを表示状態にするときなどに使います。
ただし、非表示にしたことを忘れやすいので、使用する時は注意してお使いください。

(4) オブジェクトのグループ化

2以上のオブジェクトを選択し [グループ化]すると、「選択」ダイアログ上でも「グループ化 xxx」という名前で表示されます。
各「グループ化」の左端にある「∨」をクリックすると、「>」に変わり、グループを構成するオブジェクトが折り畳まれて非表示となります。
再び「>」をクリックすれば、「∨」に変わり、元の表示状態に戻ります。

(5) オブジェクト、グループの名前を変更する

「選択」ダイアログに表示されるオブジェクトまたはグループ化を選択し、さらにクリックすると、その名前を変更することができます。
例えば、上図のようにたくさんの「テキスト ボックス」があるとき、番号が振られているだけでは、どのオブジェクトか判別しづらいですね。
そんなとき、そのオブジェクトの名前をより分かりやすく変更することで、ダイアログの中でも扱いが楽になります。