前任者や先輩から引き継いだ Excelブックを開き、言われた通りに入力すると確かに正しく動作するものの、ちょっと改良してみようとか、どういう処理を経てこの結果が表示されているのか見てみたいとか、考えると、少し複雑な数式が多いとその参照関係やどこに数式があるのか、チンプンカンプンでお手上げになることがあります。

そんなときは、慌てて手当たり次第に数式などを編集し始めるのではなく、それぞれのセルに定数(数値)が入っているのか、数式が入っているのか、場合によっては書式によって表示されているのか、全体の構成を俯瞰してみることから始めましょう。

例としては簡単すぎるかもしれませんが、下図の表を使ってやってみましょう。

 

まず「Excel 条件を選択してジャンプ」でご紹介した「ジャンプ」機能を使って定数と数式などがどこで使われているか見てみましょう。
[ホーム]タブ [編集]グループ [検索と選択]-[定数]をクリックします。
文字列や数値などの定数が入力されているセルが薄くグレイに塗りつぶされて表示されています。(下図)

 

同様に、[検索と選択]-[数式]をクリックすると、数式が入っているセルが薄くグレイに塗りつぶされて表示されています。(下図)

 

ちょっと注意が必要なのは D4~D9セルはグレイに塗りつぶされていませんが、濃い青色の枠で囲まれていますね。
これも数式が入っているセルなんですが、名前付けして配列による演算がなされたことを表しています。

必要に応じて、「条件付き書式」や「データの入力規則」を選択して該当するセルを見つけ出します。
(上記の例には「条件付き書式」や「データの入力規則」は設定していません。)

次に、どんな数式が入力されているか概観してみましょう。
[数式]タブ [ワークシート分析]グループ [数式の表示]をクリックします。(下図)

 

下図のように、数式が入力されているセルにその数式が表示されています。

 

数値も含めて「数式バー」に表示されるものが表示されると考えてもよろしいです。
これを見ると、具体的にどのセルを参照して値を求めているかが分かり、さらに上述した配列演算したセルやオートフィルして求めたことも推測できます。

もう一度 [数式の表示]をクリックして元の表示に戻しておきます。

最後に、「トレース」機能をご紹介します。
B4セルは「VLOOKUP」関数により右側の単価表から検索した結果が表示されています。
B4セルを選択して 先ほどの [ワークシート分析]グループにある [参照元のトレース]をクリックします。
すると、B4セルに向かって青い矢印が引かれました。(下図)

 

つまり、この B4セル内の数式で参照しているセルやセル範囲が表示されているわけです。

その下のメニュー [トレース矢印の削除]をクリックして青い矢印を削除し、次に I4セルを選択し、[参照先のトレース]をクリックしてみます。
今度は I4セルから B4~B9セルのそれぞれに向かって青い矢印が引かれました。(下図)

 

この I4セルを参照している数式を含むセルが表示されているわけです。

このように「トレース」機能を使うと、数式が入っているセルの参照関係を目視でき、把握しやすくなります。

冒頭にも書きましたが、前任者から引き継いだブックなどはその中身の計算方法など把握するのに時間がかかることがあります。
さらに、自分で作成したブックでさえ、時間が経つとその詳細を思い出すのにも一苦労することがあります。
そんなとき、上述した方法を思い出して、全体の構成や参照関係を効率よく調べて対処するとよろしいです。