Excelでは日付や時刻を、先の「Excel 表示形式(2)」や「Excel 1900年以前の日付の計算」でも触れた「シリアル値」という形式で格納しています。
既定では「1900年1月1日」を数値「1」とし、その日から数えた連番で日付を記録しています。

ところが、これは「Windows版 Excelのデフォルト設定では」という条件が付きます。
実は Excelには「1904年1月1日」を起点とするシステムがあります。

Excelブックを開いて、[ファイル]-[オプション]-[詳細設定]と辿り「次のブックを計算するとき」項に「1904年から計算する」という項目があります。(下図)

 

既定ではチェックが外れていて「1900年システム」になっています。
試しに、あるセルに適当な日付を入力し、その後、このオプション設定で「1904年から計算する」にチェックを入れてそのセルを見に行くと 4年だけ足された日付になっていると思います。
(TODAY関数で日付を表示させると再計算され今日の日付のままですが‥‥。)

この 2つの日付システムは何故存在するのでしょう?
Microsoftのドキュメント「Excel の 1900 年と 1904 年の日付システムの相違点」に詳しく説明されています。
かいつまんで書くと、以下のような事情からこのようになったようです。

そもそもの問題は「閏年(うるうどし)」の扱いからきているようです。
閏年であるか否かは

  1. 4で割り切れる西暦年であれば、その年は閏年
  2. ただし、西暦年が 100で割り切れたら平年
  3. さらに、西暦年が 400で割り切れたら閏年

というルールに基づいています。

このルールでは 1900年は閏年ではなく平年ですね。
起点となる 1900年が閏年でないとするシリアル値の処理が面倒(?)なため、ならば 1904年を起点としようということになったそうです。
そのため Macintosh版は 1904年システムになりました。

ところが、その当時の定番の表計算ソフト「Lotus 1-2-3」は 1900年システムだったため、それとの互換性を維持するため Windows版は 1900年システムを既定としました。

つまり、同じ Excelブックでも Windows版と Macintosh版とでやり取りするときは、この設定に注意しないと 4年のズレが生じる可能性があります。

また、もうひとつ注意が必要です。
Windows版の既定では 1900年は平年であるはずが「1900年2月29日」が存在するというバグ(?)が知られています。
つまり、あるセルに「1900/2/29」と入力すれば「日付」として認識されます。
ということは、「1900年2月29日」以前「1900年1月1日」以降の日付を扱うときは注意が必要です。

「1904年から計算する」にチェックを入れ、セルに「1900/2/29」と入力するとエラーにはなりませんが単に文字列として扱われるだけです。

おまけ:
1904年システムでは、時刻の計算結果がマイナスであってもエラーとはならずに計算されます。
下図の上段が 1904年システム、下段が 1900年システムで、2つの時刻の引き算をさせてみました。