「それでやってけるんですか?」のハナシ。
僕のように音楽というものに、ドップリと浸かった生活をしてると、よく「それでやってけるんですか?」と訊かれる事が多々ある。
まあ、僕の場合はミュージシャンとしてでなく、「呼び屋」なんですけどね。
興味があるだけなのか、それとも本当に心配してくれてるだけなのか、憐れんでるのか、羨ましいのか、そこはよく分かんないんだけど、だからと言って助けてくれるわけでもなく、足げにLIVEに通ってくれてるわけではなく、他人なんてそんなもんだと思っています。
サラリーマンを辞めて、自営になった時も、同様に他人には色々言われた事あったし、この道をやると決めた時は、そんなの当たり前に言われる覚悟はあったので、ご心配は有難く感謝しながら無視してきたからなんて事はないが、まだ人生経験の浅い、可能性のある若い人達にはキツい言葉かもしれないね。
音楽一本、あるいは副業を持ちながらやってる方とか様々だし、何とか援助を受けながらやってる方もいるだろうし、立派に本業をやりながらも名の知れたミュージシャンもいるし、一概に同じミュージシャンではないし、音楽すらやってるスタンスも様々だから、楽器持ってライヴハウスにいても、本人に詳しく訊かないと分からない話で、「それって必要か?」と思うんですよね。
本当に音楽で行くコミットをしてるミュージシャンって、確かにそう多くはないです。
コミットをしてる人は、ちゃんと設計図があって、それに向かって日々の作業も怠らないし、少量でもちゃんと収入に結び付けて行く努力はしてますよね。
確かに、そうでない人達も沢山いるのも事実なんだけど、それはどの道でも、どの職業でもある事で、余り他の職業に関してはそう言われない。
例えば、農業を始めるにしたって、まずは広大な土地を購入するなり借り入れて、とりあえず寝れる場所を確保して、最低限食える物の目途を立て、必要なものを揃えて、まずは耕す事から始める。
一日目も一か月後も11ヵ月後も一銭にもならない。
それ見て、「それで食えるんですかー?」って言います?
「見りゃわかんだろ」って話だと思います。
本当に一年後に収穫があるかも分からないものに、今という時間を真剣に賭ける気持ちがないと、新しい事業は始まっていかないわけであります。
それがやがて軌道に乗って、人の手を借りるようになり、雇用が生まれるわけです。
どの会社も、どの業種も、全てスタートはこれです。
「それで食えるんですか?」という方は、「刈り入れ募集」の記事みて、会社に入り、刈り入れの仕事をしていれば良いくらいの解釈しか思えてないんでしょうね。
本来、会社は、刈り入れもやってもらいながら、社内で新たに耕してもらって、種を植えてもらって、実らせてもらう事を期待しています。
給料以上の仕事を、前出しして頑張らなきゃいけないんですよ。
「もっと貰ってもいいんじゃないんですかー?」と他人に言われるくらい。
自分のパーヘッドくらい計算すれば分かります。
でも、同様な社員や新入社員の給料を出す為には、パーヘッドじゃ足りないから、出来る社員が稼いでいるわけです。
そういう人は、人材育成の意義が分かってるから、そういう発言はしないわけです。
当然、真の経営者も。
ただ、傍目からみて「甘さ」は分かるから、「それではいかん」という尺度は、すでにやってる人にはよく分かるんで、職種は違っても、リスペクト出来る人の話はよく訊くべきだと思います。
自分の中に設計図があって、方法が分かって、コミットしてるなら、それを信じてやってみれば良いだけです。
修正を加えながらね。
企業と違って、大きな借金を抱えているわけではないので、収入は小さくても凄い事なのです。
普通は、それだけの利益を出すのに、大きなお金が動くわけで、それでも「赤字」って多々あるんですよ。
それでも給料がもらえるのは、経営者が用立てているからです。
たまには自分の会社の数字も眺めてみたら良いと思います。
人の心配してるより、自分の心配をしましょう。