家電量販店Y電機からわかるガンプラ事情 その5
さて、展示を縮小せざるを得なかった理由はなんだったのか。Y電機の上層部は、次のようなことをK氏に通告したそうです。
(1)店の所有物ではないキットを展示するのはおかしい。管理上の問題もあるし、金品的なもの展示者を要求されたら困る。
※右の写真のK店の場合は、所属店員が作成したものなのでOKなのです。
ちなみに、前回のK氏の作成キットは、見本として店舗に分配されたもので、必要以上に手をかけることが禁止されているそうです。
(2)そもそも、店は商品を置く場所であってショールームではない。商品スペースを割いてまで、プラモを展示することはおかしい。
(3)お客の手を借りてまで、たかがプラモデルの売上を伸ばしたいのか?
まあ、(1)に関しては、僕の考えは前回述べたとおりなんでそれはそれなんですが、問題は(2)と(3)ですね。
自動車ディーラーのショールームから、展示車がなくなったら売上に大きな影響を与えるのは火を見るより明らかなことです。
ガンプラもといプラモデルは、完成したものをイメージ化することによってどれだけ購買意欲を喚起するか、それが上層部にわかっていません。
で、一番ワケ分からんのは、(3)ですね。商売なんですから、少しでも売上貢献を考えて策を講じるのは当然のことじゃないですか。僕が経営者なら、そういう発想を持つ社員はありがたいですよ。
結局、家電メインの商品構成の中で、少しでも自分の部署の売上を伸ばそうとしている一店員の努力を評価しようとはしない企業としての姿勢、これでは勤労意欲もなえるのではないでしょうか。
ハッキリと申し上げますが、Y電機という企業はガンプラ部門をまるで重視してないと思わざるをえないのです。上記の内容からも、企業としての姿勢に疑問符は十分につきますし、他にも理由はあります。
そのほかの理由は、以下のとおりです。
まず、商品の発注管理がずさんであること。家電なら売れ筋などのリサーチを十分に行なっているにもかかわらず、ガンプラにはそれが微塵も感じられないのです。
一例として、僕の行動半径にある4店舗では、余剰在庫としてすべての店で大量のMG G-3ガンダムを抱えて悩んでいます。購買層のリサーチをしっかりしていれば、このキットがそれほど売れ筋でないことぐらい僕でもわかります。
また、小物関係もリサーチ不足です。この写真のマスキングテープ、M堂のものですが、ちょっとでも詳しいモデラーならこんなもん買いません。
マスキングテープは、ホコリが付きにくいタミヤのケース付きを買うのがいわばモデラーの常識です。
それがわからない商品管理では、売上が伸びるわけないでしょう。
さらに、家電屋ゆえの悲しさで、再販キットに対する意識が低いことも嘆かわしいことです。新製品は、何でも売れると思い、問屋から過剰に入荷させても、ファンの多いキットの再販は、それほど積極的ではない。
バンダイのHPで再販リストを確認して、再販物を予約しようとしても入荷するかどうかは上層部のさじ加減で、店単位では動けない。
これでは、リピーターをつくることはもちろん、口コミ的な新規層の発掘も難しいですね。
ある意味、Bカメラのほうが商品のラインナップはうまいと思います。
そして、Bカメラのように、商品知識に長けた店員をコーナーごとに上手に配置しているわけではないこと。
東京に住む妹夫婦は、Y電機行くならBカメラで買うと言ってます。理由は、Bカメラの店員は、親切でなんでも答えてくれるから。とのことです。
家電のような商品寿命の長い商品ばかり扱っていると、リピーターの存在を軽視するのは仕方ないことです。しかし、ガンプラユーザーは、リピーターが多いのですよ。
Y電機のような見せかけだけのプラモコーナーを持つ店がはびこると、この市場はますます細くなるような危惧を感じるのは私だけでしょうか。
現状、まともなプラモ専門店はどんどん店を閉めているのですから・・・。
だから、プラモ市場の恒久化のためにも、Y電機にはもっとガンバッテ欲しいと思うのです。
「感謝と信頼で強い企業を目指す」なら、なおさらです。
初回にも書きましたように、いい形は出来ているんで、もっとガンプラユーザーの心を理解してもらいたいものです。
長期拝読ありがとうございました。次回からまた、キットの話へ戻ります。
※なお、今回のシリーズで掲載した店舗内の写真は、すべて許可を得て撮影しています。
