家電量販店Y電機からわかるガンプラ事情 その3
最初にちょっと、ガンプラの歴史です。
今年は、皆さんご存知のようにガンプラ誕生30周年の年です。
あの80年代初頭の強烈なガンプラブームを生み出した伝説の300円モナカキットは、ご存知でしょうか。
色は一色のみのキットでしたので、アニメの色合いを再現するために、皆、塗装術を覚え、道具を揃えていったのです。
その後、ブームの沈静化とともに、初期の購買層は歳を取り、仕事に謀殺される忙しい年代となっていきます。
そういった、高年齢の購買層をガンプラに戻すために開発されたシリーズが、マスターグレード(MG)なのです。
MGは、バンダイが研究や試行錯誤を重ねた色プラ・スナップフィットなどの作りやすさと高クオリティを同居させた商品となり、狙い通り、高年齢の購買層を発掘することに成功します。
ですが、MGは1995年という、バブル経済崩壊後の不況下で売り出されたことが、プラモに対する認識を変えていくことにつながっていくのは皮肉なことです。
さて、前回にお話にあったY電機の店員K氏は、自分の担当するAV玩具コーナーの売上をどのようにアップさせたらいいか、日々試行錯誤している熱心な方です。
何回かY電機A店を訪れるうちに、
「塗料があまり売れないんですよね。」
というボヤキを聞きました。
実は、それがMGのもたらした負の部分なんです。以前のコラムにも書いたようにMG購入層の5割は、超素組み。つまり、ただ組み立てるだけなんで塗装なんか必要ないんです。
そのうえ、塗装したくても塗料を置いている小規模なプラモ専門店は不況の影響でどんどん店をたたんでいきます。結局、プラモはプラモしか置かない大規模小売店で買うしかなくなるので、塗装をしなくてもいい色プラキットばかりが売れたのです。
Y電機がプラモ小物を充実させてきたのは、その風潮が定着しかかった頃のこと。
塗装に気が向かない消費者ばかりでは、悩むのは当然のことです。
僕としても、3000円以上する高額なキットを、何もせずにただ組み上げるだけという風潮に嫌気がさしていたんで、2人の考えは一致しました。
僕の作ったMk-Ⅱをかなり気に入ってくれたK氏から発案され、塗装に対する興味を盛り上げれればと、次のようなものもついでに作りました。
塗料コーナー横に貼ってもらった、注意事項なんですが、この1枚があるかどうかで、店としての本気度がわかると思います.
こういった、細かな動きは功を奏し、塗料などの商品が徐々に動くようになっていきます。
そして、K氏は次の段階の戦略を思いつき、実行にうつしていくのです。
何かっていいますと、現物の展示です。
これが、結果として何をもたらしたか・・・。
次回です。


