【私がウニになるまで】1はこちら

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『醤油取って』
さえ言えない。



父が何か取って欲しそうにしたら

言われる前に察して取らなければならない。




こうして


家の中でも緊張し続ける
子どもウニが誕生しました。






友だちも少なく

家族関係について話す年齢でもなかった為




自分の家の環境が変わっていることに気づかなかったのです。







それでも私は、親が好きでした。


大好きなダンスをさせてもらってる。

やりたいと言ったことを許してもらってる。




その意識を常に持ち続け、
日々感謝をしていたのです。
  





「愛する気持ち」と「感謝」


もしこの時の少女ウニに今の私が会えるなら


この二つを区別していいんだよと言いたいです。



今だって、舞台の道を歩ませてくれたことに
大きく感謝しているのですから。







養成所でも不安をかかえ…



家でも緊張し続け……





少女ウニに残された場所はあと一つ、学校だけ。






しかも教室や校庭ではなく、




一人で行く図書室。



 




友だちとも上手く関係を築けなかった私は


本の中の世界に没入することが

安心を確保する方法でした。







《私じゃない誰かになりたい》



こう思い始めたのは、
本の影響が大きかったと思います。






もし私が友だちとうまく行っていたら

もし私が自閉症じゃなかったら



役者として《自分じゃない誰かになる》ことはなかったでしょう。






のちに私の人生を大きく変えることとなる

「アニー」の存在を知ったのもこの頃でした。







つづく
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