8年前だから、2016年の今日、僕は、単身赴任先のマンションの一室で痛みと共に目覚めました。
 

右足母趾球あたりに激痛を感じ、足首あたりがひどく腫れていました。


すぐにPCを開いて、その症状から原因がどうやら痛風らしいということが分かりました。


その時の気持ちは、家族に対して「もうしわけない」という思いでした。


2012年から始まった単身赴任生活が、丸4年経った頃。


最初の1年は規則正しい生活を続け、家族と離れて暮らす前から続けてきた千日断酒も達成したのですが、2年目からは、崩れていました。


断酒を解禁し、毎晩飲み歩き続けました。

バーに行くと、そこにはかならず誰か顔見知りがいて、楽しかったのです。


そんな生活が3年経ち、48歳を迎える年にカラダが悲鳴を上げたわけです。


その頃、次男は、中学受験で第1志望も、第2志望を合格できず、合格発表の日に、肩をふるわせ泣いていたと、妻から聞きました。


僕が、毎晩飲み歩いていたことと、次男が中学受験で挫折をしたこととは、なんら因果関係はないのですが、僕の中では「もうしわけない」という気持ちでした。


そこで、思い立ったのが、また、断酒を再開させることでした。


自分が好きなことをやめることで、「もうしわけない」という気持ちが消せるのかも知れない、まだ、何か大切なものを取り返すことが出来るのかも知れないというかすかな望みを託しました。


たぶん、この時に、僕は一度、死んだのでしょう。

 


それから、今日まで、たった一度だけ、アルコールを口にすることがありました。


前の断酒で、たった一度アルコールを口にしたことが、そのまま、その後、毎夜飲み歩くことにつながってしまったので、勇気のいることではありました。


けれども、その怖さ以上に、その時は、「お祝い」の気持ちを一緒に味わおうと思いました。


このお正月に、米寿を迎える義父を家族4人で囲み、食事会を開いたときに義父がワインを開けてくれたのです。次男も成人式の年なので、そこに集まった全員が、お酒を飲める年になりました。


僕は、8年前の気持ちと誓いを思い出しながら、グラスに注がれたワインを一杯だけ、ゆっくり時間かけて少しずついただきました。


8年前に、一度死んでから、断酒を始めて8年。


その間に、長男も次男も、自分の思う人生を選択することが出来て、ハードな毎日を楽しんでいます。


何の因果関係もないのですが、僕の中では、それは、僕が断酒したお陰なんだと思っています。


もし、今、あなたの周りに居る方が、48歳前後で人生の最悪期まっただ中に居るのであれば、

 

「なにかを手放した方が良い」かもしれないことを、伝えてみてはどうでしょう。

 

それまでにずっと好きだったことだとか、こだわり続けてきた信念だとか、所属している組織だとか、悪習だとか…僕の場合は、それが、お酒でした。

 

そうすることで、その後、自分だけではなく、周囲にもいい影響を及ぼすことが出来たのだ思います。


ちなみに、妻は、ウェイターに注がれるままにワインを二杯ほど飲み、その後、気分が悪くなって立てなくなってしまいました。

 

誰か、妻に、僕が人生の苦境から得た教訓をやんわりと伝えていただけるといいのですが…