スカパーで録画鑑賞。

 

ビデオ『隣人の喘ぎ声 人妻とOLに挟まれて』

2019年竹洞哲也監督作品。 友田彩也香、細川佳央主演。

なつめ愛莉、卯水咲流、若月まりあ、東凛、辰巳ゆい、櫻井拓也出演。

 

 

録画しておくと、

タイトルだけでは「あれ?これどんな映画だっけ?」

となることも多い。

本作もそんな1本で、

ピンク映画なのは分かるが、

タイトルだけでは全く食指が動かない作品である。

 

それで鑑賞前に確認すると、

せつな系ピンク映画の名作『サイコウノバカヤロウ』(別タイトル『レンタル女子大生 私、貸します。』)

 のスタッフと主なキャストの作品ではないか。

 

 

ちなみに本作の別タイトルに『平成風俗史 あの時キミも若かった』

実はこちらのタイトルの方が、

内容にふさわしい。

 

物語は昭和最後の日に始まる

平成最初の日に特別なことをしようと躍起になる若い夫婦(友田、細川)。

冒頭から、やたらやりまくる夫婦の姿が描かれ、

「こりゃ、失敗かも」と思って観ていくと…

 

素晴らしい!

ネタバレしたくないが、

いい方向に予想を裏切る展開の名作だった。

 

夫婦の住むアパートの隣には、

女性にモテなく冴えないフリーターの青年が悶々として住んでいる。

演じるのが、あの櫻井拓也(何度も説明するが2年後に31歳で他界する俳優)。

本当にいい俳優だ。

 

 

物語は、そんな夫婦と青年のモノローグとともに、

コミカルに展開する。

 

さらに隣の部屋には、

派手な先輩(卯水)に振り回される地味なOL(なつめ)が住んでおり

彼女のモノローグも加わる。

 

物語は、「平成○年」と言う年代のテロップとともに進んでいく。

 

これには驚いた。

コミカルなお手盛りピンク映画だと思ったら、

物語は平成の末期まで進むのである。

 

上記の登場人物以外にも多くのキャラクターが交錯して、

風俗の変遷を背景に展開する。

 

例えば、

ファミコン→スーファミ→プレステ→配信ゲーム

テレクラ→ダイヤルQ2→出会い系サイト

 

夫婦にも子供ができて命名する。

あの小渕官房長官の「平成」へのオマージュシーンでもある。

 

 

コミカルな内容の中にも、

含蓄のある味わい深いシーンが増えていく。

 

さらには、まさかのシリアスな展開も。

それも決して暗くならず、感動の伏線にもなる。

 

そして、夫婦に生まれた娘(若月)も、

平成の末期にはおとなになりアイドルを目指す。

(表向きは)恋愛禁止のアイドルを目指す姿も切ない。

 

 

後半に行くに従って「名作」の味わいが深くなっていく稀な作品だった。

 

そして『隣人の喘ぎ声 人妻とOLに挟まれて』と言うダサいタイトルは、

櫻井演じる冴えない青年の立場を的確に表現したものだったことに気づき、

新たな感銘を受けるのだった。

 

ちなみの本作の姉妹編として、

令和への移行を描いた『ちゃのまつかのま』(別タイトル『風俗図鑑 ヤレない男たち』)

と言う作品もあるようだ。

ぜひ観てみたい。