スカパーで録画鑑賞。
ビデオ『がめつい奴』
1960年千葉泰樹監督作品。三益愛子主演、森繁久彌、高島忠夫、中山千夏、草笛光子、団令子、森雅之出演。
大阪釜ヶ崎の貧民街を舞台とした、
バイタリティ溢れる集団喜劇。
こりゃ、面白い!
古い日本映画だから、
ほのぼのとした人情喜劇かと思いきや、
コンプライアンスもあったものじゃない、
トンデモなく破天荒な喜劇なのである。
三益愛子演じるがめつい婆さんを筆頭に、
どいつもこいつもがめつい小悪党ばかり。
婆さんは、戦後のドサクサで手に入れた土地で、
安宿を経営。
そこには、お調子者の息子(高島)、
元の土地の持ち主で婆さんから土地を奪還しようとする姉妹(草笛、団)、
占い師の女のヒモをしているあくどい中年男(森)、
婆さんに拾われて孫のように育てられている少女(中山)らが住んでいる。
そしてそこに、婆さんの義弟と称する胡散臭い男(森繁)が乱入してきて…
有名じゃない小品の割に、出演者が豪華。
芸達者な俳優が適材適所に配され、
隙のないほどにギャグが散りばめられている。
それにしても釜ヶ崎。
最高ですな。
釜ヶ崎に対する偏見や差別意識が容赦ない。
自動車事故が起これば、
運転手の救助どころか、
壊れた自動車の部品を我先にかっぱらう。
モラルもへったくれのもないエリアなのだ。
そして、それが生きるためのバイタリティなのだ。
出演する役者たちが、皆素晴らしい。
中山千夏などは、子供の頃にはよくTVで見たタレントと言うイメージだったが、
子役時代の名演を初めて見たと思う。
また、特に良かったのが意外にも高島忠夫。
良いところのボンボンのイメージの強い俳優だが、
釜ヶ崎に生きるお調子者を好演。
冒頭の通天閣〜釜ヶ崎エリアの空撮映像から始まる作品だが、
本編はほぼセットでの撮影と思われた。
描き割の通天閣がうまく背景に使われる。
その中で、おおっと思ったのがこの風景。
新世界のジャンジャン街を模したセット。
ふぐの大衆店づぼらやも見えるし、
中ほど左側に見えるのが…
酒の穴ではないか!
実はこの「酒の穴」は7年ほど前に訪れている。
場所はジャンジャン街ではなく、
新世界のほぼど真ん中。
昔はジャンジャン街にあったのだろうか?
大阪の新世界〜釜ヶ崎好きにはたまらない作品でもあった。