香りのお話 もうちょっと・・・
源氏物語には たくさん香りのシーンがあります
そして たくさんのヒロインに 似合った香りが
さりげなく登場しています
光源氏に 最も愛された紫の上
彼女の香りは 「梅花」
華やかで愛らしい 彼女の人柄を 香りでも表しています
春の人と呼ばれ 光源氏に最も愛された彼女に
ふさわしい香りですね
花散里は「花橘」
彼女は 美人ではないけれど 控えめで優しい人柄で
光源氏は癒されます
花橘は夏の香り
さわやかで 懐かしい香りだと 表現されています
末摘花は 物語きっての 超おブス!
でも たきしめられた えび香は高貴な香りで
落ちぶれても尚 高貴で純粋な彼女を
光源氏は 忘れられなくなります
そして よい香りではなく 恐ろしい香りも登場します
六条の御息所は 光源氏の年上の恋人
でも 身分も教養も高い彼女との仲に 光源氏は疲れていました
そんな折 光源氏の正妻が懐妊
しかも 御息所は正妻からも屈辱を受け 心神喪失状態に
ふと気がつくと 御息所に染み付いた芥子の香り
そして 洗っても洗ってもとれない この香りは・・・・
これは 悪霊退散の 祈祷に使う香りなのです
光源氏の正妻には どうやら悪霊がとりつき
祈祷が行われているとか・・・
もしかして 自分が浅ましい生霊になって 正妻を苦しめているのでは・・・・
これは怖い!
目に見えないだけに 禍々しい香りが より恐怖感をあおる、
物語でも 一番怖いシーンですね
光源氏亡き後 宇治十帖と呼ばれる物語では
香りは一層 強くなります
2大貴公子・薫と匂宮
すでに名前からして 香っています
「薫」は 薫香ともいうように 香りが漂う 空気感を表す言葉
そして「匂」は 匂い立つような美しさ というように
視覚的な美しさを 表す言葉だとか
薫は どちらかというと 内向的な貴公子で
物語の陰の性質を持ち
また笛をたしなむことからも 空気感や内面美を
匂宮は 情熱的で華やかな貴公子で
物語では 陽の性質を持ちます
そして 絵を描いているシーンが 多々あります
物語は 2人の貴公子の香りをともに
宇治の3姉妹との 恋をつむいでゆきます
香りは その人のイメージをつくる 大事な要素ですね
マリー・アントワネットは スミレやハーブなど
植物性の香りを好んだといわれます
アントワネットといえば ゴージャス姫のイメージがあるかもしれませんが
実際の彼女は
ゆったりとしたドレスで 素朴なお菓子や 可愛らしい小花柄などを
好んだそうです
フランス王の寵姫・ポンパドール夫人
ロココの女王と言われる彼女は
自身の力で 王の寵愛を勝ち取り、フランス宮廷に君臨します
彼女が好んだのが ムスクの香り
動物性のセクシーな香りで 王様を虜にしたのだそうです
ダイアナ元妃が好んだのが ネロリだそうです
私も大好きなネロリは オレンジの花の香り
さわやかで 温かみあって そして高貴な香りです
平安貴族は 自分イメージの香りを 作っていましたが
現代の私達も アロマオイルでつくったり
自分イメージの香水を さがしてみるのも一興ですね
ちなみに瑞香イメージの香りは
オレンジシナモンです
いかが?