俗にいうサービス残業ですが、厚生労働省は「賃金不払い残業」という言葉を使っています。
その言葉の通り賃金を支払うことなく、規程の労働時間「所定労働時間」を超えて勤務させていることです。
「法定労働時間」は1日8時間、1週40時間ですが、労働契約時に定めた労働時間が「所定労働時間」ということになります。これを超えての業務は分単位で残業になるのです。
残業も勤務時間ですから賃金の対象となります。特に法定労働時間を超えた場合は割増の賃金を使用者は支払うことになります。
ここで問題となったのが非正規雇用の非常勤で働く人です。
非正規雇用は人件費の対象にならず、物件費で買われています。物件費とは消耗品等を買購入する予算ですが、非正規雇用は1年間いくらで買われています。
そこで残業代を支払うと1年間にかかる経費が増えてしまいます。最初に決まった値段で購入したのに、後になって値上がりしましたということでさらに支払うということはできません。
そもそも人件費をゼロにするために非正規雇用を利用しているのですから、経費が掛かるようでは困ります。
さらに非常勤の人に残業代を支払うことは、その残業時間を勤務時間として認めることになります。そうすると非常勤なのに常勤雇用の人より勤務時間が長くなってしまいます。
こうなると残業代だけで済まなくなります。非正規雇用の人にもボーナスや退職金や健康保険、年金保険などすべて常勤と同様にしないといけません。
こうした事情から賃金不払い残業が発生しているのではないでしょうか。
このような違法労働を続けていると心が病んできます。憎しみも湧いてきます。ただし、使用者に対して文句を言うことは、身分保障のない非正規雇用の人にとっては雇止めになる可能性が高くなるため、それもできません。
なかなかよくできた仕組みです。問題が表面化しにくいように工夫がされています。そしてもちろん非正規雇用でしか働けないのは個人の責任であり、支援と対象になりません。最近は若者支援も増えてきましたが、ある程度の年齢になれば支援対象からも外されます。
このような労働者を搾取する原理はなぜ社会に根強いのか。そう思う人は多いのではないでしょうか。私もその一人です。
そこで注目しているのがカール・マルクスの「Das Kapital」(資本論)です。
経済学の分野では有名な著作ですが、原著の翻訳版は長編かつ難解です。しかし、有用な解説本が多数あります。
そこから少しずつでもアプローチして理解を深めていけば、資本主義が進展するとどうなるのか、という単純かつ深遠な疑問に答えを見つけられるのではないかと期待しています。
今のような社会になるべくしてなった。そこから先はどうすればよいのだろうか。